2016.10.12 UP
この日がチャンス!願いが満ちる”十三夜”とは?【10月13~17日】
10月13~17日頃は第五十候「菊花開く(きくのはなひらく)」。菊の花が咲き始める季節といわれています。菊といえば仏壇に飾る花、と思っている方も多いと思いますが、最近では結婚式の和装時に、祝いの花として「ピンポンマム」といったまあるい菊の花を髪にあしらったり、ウエディングブーケとして持つ女性も多くなりました。
さて、「菊花開く」の時季、ピンポンマムのようにまあるい月が夜空に輝く満月(10月16日)がやってきます。実はその3日程前の10月13日は、満月以上にいにしえの人々に愛されていた十三夜。ちなみに、先月の仲秋の名月と十三夜の月を合わせて「ふた夜の月」と呼ぶそうですよ。
十三夜の月は十五夜の満月と違い、ほんの少し欠けています。でもそれは、満ちることが決まっている欠け。十三夜の月にかける願いもまた「満ちる!」といわれていることを、皆さんご存知でしょうか?
七十二候とは?
時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか? 流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。
季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。
「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。
「後の月」と呼ばれる十三夜の月
十三夜は仲秋の名月(今年は9月15日)の1ケ月後、旧暦の9月13日の月です。ですから、いにしえの人々は十三夜のことを「後の月(のちのつき)」と呼んでいました。十三夜の月をながめる風習は平安時代に生まれ、十三夜は十五夜以上にいにしえの風流人に愛されていたそうです。
仲秋の名月の記事で、12本の柱のうち、1本だけ模様がほかの柱と逆さに彫られている日光東照宮の「日暮門(ひぐらしのもん)」をご紹介しましたね。「完璧なものは、その瞬間から崩壊が始まる」とされ、あえて1本だけ模様が逆さに彫られている逆柱。そのパワーのご利益か、日暮門は崩壊をまぬがれて今に受け継がれています。
欠けては満ちるを繰り返す月。未完にこそ無限の可能性があると信じたいにしえの人々は、「日暮門」同様、ほんの少し欠けた十三夜をもうひとつの名月として大切に愛でてきました。まずは、今手にしている幸せにきちんと感謝をして、十三夜の月に願いをかけましょう。
十三夜の月のパワー
満月は太陽が沈むと同時に東から昇りますが、十三夜は午後から夕方にかけて昇り、夜明け前に沈みます。十三夜は満月に向けて満ちていく月です。どんな力を持っているかといいますと、キーワードは「期待」「成長」「活動」「吸収」です。
この時季、日々成長してゆく月のように、私たちのココロとカラダも栄養やエネルギーを吸収するといわれています。吸収力が高まるときなので暴飲暴食には注意をしたほうがいいのだとか。ちょっと高価なサプリメントや、ドリンクを摂取するのにはベストなタイミングかも。
また、自分を磨き高めたい、満足したいという気持ちも高まり、自然と活動のスイッチが入るとき。いつかやってみたいと思っていることがあるなら、今がチャンスですよ! 例えば、「今度、食事でも」と話しているお相手がいれば、思い切ってお誘いの連絡を。月に願いをかけて、夢に向かって積極的に行動しましょう。
十三夜をながめて縁結び
皆さんは、9月15日の仲秋の名月はご覧になりましたか? 私は仕事で故郷へ。夜は6歳と2歳の甥っ子と、お月見をしました。「月にはね、うさぎさんがいるんだよ」とまっすぐな瞳で話す甥っ子たちに癒された夜。
実は、どちらか片方の月しか見ないことを「片見月(かたみづき)」といって、昔から縁起が悪いとされてきたそうです。ですから仲秋の名月をご覧になった皆さんは、十三夜のお月見も忘れずに。
また、仲秋の名月を見た相手と十三夜をながめることを、「結月(ゆづき)」と呼ぶそうです。できれば同じ人と、同じ場所でお月見を。月が結ぶご縁は、永遠の幸せにつながるかもしれません。まさに縁結ぶ月、「結月」ですね。
いにしえより十三夜の月に願いをかければ、後に願いが満ちて満願となると信じられてきました。この記事を読んでくださったことも、またご縁。今年は、大豆や栗を中心とした秋の美味しいものを月が見えるところにお供えして、ちょっぴり欠けた十三夜の月に願いをかけましょう。
秋の七草や、今が旬の菊の花を飾るのも風流ですね。願いをかけたら、月見豆といわれる枝豆を食べながらビールで乾杯もいいですね。
【参考】『毎日が満たされる 旧暦の魔法』さとうめぐみ/河出書房新社・『くらしを楽しむ 七十二候』広田千悦子/泰文堂
三浦奈々依(みうらななえ)
神社仏閣ライター・フリーアナウンサー・カラーセラピスト