2017.06.26 UP
【イマドキ女子のパラキャリ準備室】vol.01~社長と大手企業正社員、25歳で二つの顔を手に入れた経緯は?~「ハピキラFACTORY」代表取締役&ソニー株式会社 正能 茉優さん
大学生時代に、地方のアイテムを女性目線でプロデュースする『ハピキラFACTORY』を創業し、現在も同社の代表取締役を務めながら、日本を代表する大手企業・ソニー株式会社の正社員として社長室直下の組織で新規事業開発を手がける正能 茉優さん。
2016年には経済産業省の副業・兼業委員会(兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する研究会)の最年少委員に抜擢されるというアクティブウーマン。
「仕事も、趣味も、恋愛も、自分の好きなことを好きなだけやる」をモットーに、25歳という若さにして理想的なパラレルキャリアを構築しています。
そんな正能さんに、彼女がパラレルキャリアという生き方を選んだ理由や実践できた秘訣、そして彼女自身の幸福感などをお聞きしました。
大学在学中に起業を決意したきっかけは?
慶応義塾大学在学中に『ハピキラFACTORY』を創業した正能さんですが、企業を決意したきっかけは何だったのでしょうか?
「最初のきっかけは、当時私がお世話になっていた慶應義塾大学教授の勧めで、長野県の小布施という町に出かけたことでした。教授の知人が小布施の「まちづくりインターンシップ」というプログラムに携わっていて、私もそれに参加することになったんです。
私は幼少期から家族で軽井沢に頻繁に行っていたこともあり、長野という場所になじみがあったので、長野で2週間も過ごせるならと、行くことに決めました」
当時、政府が発信するまちづくりは、道路や建物を整備する都市計画が主流でした。しかし、まちを活性化するには、都市計画以外にもやるべきことがあるのではと考えた正能さん。そんな意見を町長に話し、小布施を舞台に日本の未来を考え、プロトタイプする「小布施若者会議」を企画しました。
2012年には全国から240人の学生を招いて会議を開催し、見事成功。会議は今年で5回目を迎え、現在では全国9市町村でも展開されています。
しかし、正能さんはそこであることに気付きました。
「会議には女の子の参加者が圧倒的に少なかったんです。どうしたら女の子が地方に興味を持ってくれるのかと考えた結果、女の子が好きな“かわいい”を入り口にすることを思いつきました」
そして「“かわいい“を入り口に、地方を元気にする」というコンセプトのもと、地方特産品等を女性目線でプロデュースする『ハピキラFACTORY』を立ち上げました。
起業後初のミッションは、2,000個の和菓子を完売させること
正能さんが一番最初に手がけたのは、小布施堂という和菓子店の商品を若い女性に売ることでした。
「小布施堂の商品はすごくおいしいのに、パッケージがあまり若い女性向けじゃなかったんです。しかも、買う機会もなかなかない。そこで、新しいパッケージを考案し、バレンタインギフトとして販売することにしました。
ところが、本当は100個の新パッケージを発注するつもりだったのに、業者から2,000個からしか作れないと言われて。当時の私は、ロットという概念を知らなかったんです。きっと売れるかなと思い、結局2,000個発注してしまいました(笑)」
2,000個の和菓子を完売させるため、正能さんは渋谷のデパートの中にオリジナルショップを開設。週刊誌やテレビ、Yahoo!ニュースでも商品を紹介してもらうなど奮闘した結果、10日間で2,000個の和菓子を完売させました。
女子大生で起業し、大胆にも2,000個の和菓子を発注した正能さん。彼女のキャリアの貴重な第一歩は、リスクに物怖じしない勇気から始まったのかもしれません。
「勇気があるというよりも、大好きな人を裏切ってはいけないという気持ちの方が強かった気がします。
学生会議に人を集めたときも、2,000個の和菓子を発注したときも、私を信頼してくれている人たちを裏切りたくないって思っていました。リスクとかメリットとか、そういうことはあまり考えるのが得意ではないタイプかもしれません」
自分の価値を最大化させるべく、会社員という道を選択
経営者として走り続けるという選択肢も十分にあった正能さんですが、大学卒業後には大手広告代理店へ正社員として入社することを決断します。その理由は何だったのでしょうか?
「私たち“ミレニアル世代”は、恋愛も仕事も趣味も家族も、全部70点でもいいから、人生全体として120点をとりたいと考える世代です。仕事で頑張って120点がとれたら、たとえ趣味をないがしろにしたとしても仕方ないと思えるバブル世代とはちょっと考え方が違います。
だから、相対的に見て、仕事に費やす時間が少なくなりやすい。
でも私は、お金はそれなりに必要なタイプの人間です。紅茶を飲むならロイヤルミルクティーがいいし、ハンバーガーを食べるならアボガドもトッピングしたい。限られた時間の中でより多くのお金を稼ぐには、自分の1時間あたりの価値を最大化させる必要があると考えました」
正能さんは自分の1時間あたりの価値を最大化させるには、「ナンバーワン」か「オンリーワン」か「ファーストワン」の存在になる必要があると考えたそうです。
「私は、勉強でも部活でもナンバーワンになれなかったし、何か発明できるわけでもないからファーストワンも難しい。だったらオンリーワンしかないかなと。
でも、“元女子大生社長”というだけではオンリーワンの存在になれないと思ったので、“○○なのに社長”という文脈に自分を置くことを思いつきました。
企業の正社員として働きながら自身の会社の代表取締役を継続して、今までにないタイプの生きざまで生きていこうと思ったのです」
仕事だけではなく、趣味や恋愛だって楽しみたい。そんな普通の女子らしい発想のもと、正能さんが考えたオンリーワン戦略。
その戦略は正能さんの人生をどう変えていくのでしょうか?
<Vol.2に続く>