2015.06.10 UP
「もう我慢できない!」ムカつく後輩女子との付き合い方
みなさんは、いまの職場や仕事仲間が好きですか? 給与や待遇がよくても、人間関係がギスギスしていると、会社にいくのが億劫になってしまいますよね。
とりわけ、うっとうしく感じるのが女同士の人間関係だったりしませんか。でも、男性より頼りになるのも女性だったりするんですよね。
気の合わない後輩女子との付き合い方を、女同士の人間関係を描いた小説から読み解くことにしましょう。
これがゆとり世代?理解できない後輩を持つあなたにはコレ!
23歳のキャピキャピOL千絵と、まわりから「お局」呼ばわりされている35歳の瑞子。立場や考え方が異なるせいか、仲の悪いふたりを描いた『彼女の嫌いな彼女』(唯川恵著・集英社文庫刊)。
彗星のごとく現れたアメリカ帰りのエリート男性・冴木をめぐり、対立を深める千絵と瑞子でしたが……。
この小説はドラマ化もされているので、もしかしたらご存知の方も多いかもしれませんね。レビューには
「主人公のOLふたりが現実味のある性格なので、共感できるところがある」
「お互いに疎んじてきた二人が、最後には歩み寄ろうと努力している姿が格好良い」
などがありました。
誰もが感じる年齢の不安や、人生の岐路で難しい選択に立つ姿が描かれた作品です。
「悪い子じゃないんだけど、空気読め!」な、鈍感な後輩を持つあなたにはコレ!
お嬢さま大学を舞台に、14歳のときに親のコネで作家デビューを果たした先輩・栞子。その先輩に憧れを抱くダサくて真面目な後輩・真実子。真実子の幼なじみでクールな美里。
若くして認められたが堕落気味の栞子と、努力家で美人な美里の狭間に居る真実子という設定でストーリーが展開していく『けむたい後輩』(柚木麻子著・幻冬舎文庫刊)。
栞子に心酔して慕ってくる真実子を煙たがるも、彼女の賞賛なしには自分の存在意義を認められなくなる栞子。先輩風を吹かせて孤高の存在を装う栞子でしたが、最後にはしっぺ返しが……。
レビューの一部をご紹介すると
「真実子は稀有な存在ですが、栞子のような女は結構周りにいそうな感じで苦手かな」
「若い女子特有の盲目さ純粋さや虚勢…真実子も栞子もぞっとするほど嫌な女。どこか自分に当てはまるから見てられないほど気持ち悪い」
など、共感することも多そうです。
先輩風を吹かせるあまり、わたしたち自身が、後輩から煙たがられる存在にならないように気をつけたいものですね。
「あなたは女王様?」やたらと上から目線な後輩を持つあなたにはコレ!
語り手の「わたし」とは、似ても似つかぬ超美人の妹のユリコ。
幼い頃から劣等感に苛まれていた「わたし」は、ユリコと離れたい一心で名門女子高に入学するも、そこは女同士が格付けし合うエリート社会でした。そんな女同士のぶつかり合いをこれでもか、と描いたその名も『グロテスク』(桐野夏生著・文藝春秋刊)。
新たな人間関係やエリート社会に悩む「わたし」をさらに追いつめたのが、思いがけないユリコの編入! 彼女はその美貌で華やかな男性遍歴を重ねるものの、男性教員との売春がバレてしまい退学に……。
女同士が序列をつけあう内面を鋭く描いた作品です。
レビューの一部には
「読んでいて自分のいやな部分がむくむくと出てきているような気分になった」
「誰もが心に抱えている歪みが大げさなほどに痛々しく描かれていて読むのがつらかった」
など、ドロドロした人間のグロテスクな部分と向き合える、というコメントが目立ちました。
ギラギラした後輩にイラッとしたとき読むと「わたし」の気持ちが理解できそう。それと同時に、自分の態度も改めようという気になるかもしれません。
後輩だけでなく、女同士の人間関係を見直すきっかけになりそうな小説たち。
雨で外出する気分になれない梅雨の時期、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょう
鈴木 香穂里
ライター/編集者/パティシエ/レシピクリエイター