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2023.09.04 UP

腸活失敗の原因は「お口の中」にある!? 専門家が教える“腸活成功のコツ”

肌荒れや毛穴トラブルなど、お肌の悩みは絶えません。

肌悩みを解消する方法として思い浮かぶのが、洗顔や化粧品による「外から」のケアと、腸活などの「内側から」のケアです。

美容のみならず、健康のために腸活を行っている人も多いですよね。

その腸活について、専門家の先生に「意外な落とし穴と成功のポイント」を伺いました。

 

「腸活」が体調ケアのTop5入り、64.8%が「免疫力向上」のために実践

上の図は、Kenvueが20代~60代の男女3,000人を対象に行った、体調管理と口内環境に関する調査結果です。

体調管理に課題を感じると答えた2,509人に、「体調管理のためのケアを行っているか」と聞いた質問には、66.5%が何らかのケアを行っていると回答しています。

具体的には「運動」(31.5%)、「食事」(28.1%)、「サプリメント」(21.5%)、「睡眠対策」(16.2%)が多く、これら基礎的なケアに次いで多いのが「腸活」(13.8%)でした。

腸活を行っていると答えた347人に目的を聞いた質問では、「便秘改善」(67.1%)に次いで、64.8%の人が「免疫力の向上」と回答しています。

「腸=免疫器官」として捉えている人がとても多いことがわかりますね。

 

口内の悪玉菌を飲み込むことにより腸内環境が乱れている可能性も

体調管理のスタンダードであり、継続意向が高い腸活ですが、実は、多くの人が知らない「腸に悪影響を与えているかもしれないリスク」があります。

それが、お口の中の悪玉菌です。

2019年の欧州分子生物学研究所での研究結果から、

口の中の悪玉菌が飲み込まれて腸で定着し、腸内フローラに悪影響を与えている可能性がある」

ということがわかっています。口内の悪玉菌は、胃酸にも負けずに腸まで届いてしまうんですね…。

また、「口の中の悪玉菌が腸内フローラに影響を与えている可能性がある」ことを知っているかという質問に対しては、90.6%が「知らない」と回答

口内環境が腸内環境に影響していることは、ほとんどの人が知らないことが明らかになりました。

 

歯科医師・福島先生が教える口内悪玉菌ケアのポイント

グランプロデンタルクリニック銀座 院長で歯科医師の福島一隆先生に、口内悪玉菌ケアのポイントを教えていただきました。

――口の中の悪玉菌が腸に届くと、どのような問題があるのでしょうか?

福島先生:歯周病の原因となる悪玉菌が腸内に到達すると、腸内細菌のバランスが崩れ、全身の体調バランスも崩れてしまうこともあります。

せっかく取り組んでいる腸活も台無しになってしまうおそれがあるのです。

――口内の悪玉菌を体内に入れないためにはどうすればよいのでしょうか?

福島先生:口内の悪玉菌を体内に入れないためにできることとして、歯医者や歯科衛生士によるプロケアと自分でできるホームケアがあります。

プロケアのひとつが、毎日の歯磨きでは取り除けない汚れや歯垢(プラーク)などのバイオフィルムの除去・清掃です。

ほとんどの歯周病原因菌はバイオフィルムの中にいると言われていますが、歯の表面や歯周ポケットにかなり強固に付着しており、歯ブラシでは除去できません

プロケアでは、スケーラーという道具を使ったスケーリングをはじめとした方法で除去しますが、放置すればまた増殖してしまうので、定期的なプロケアを行うとともに、毎日、自分で行うホームケアも重要になります

――どのようにホームケアをすればよいですか?

福島先生:歯磨きが一般的ですが、ブラッシングやフロスでケアできるのは歯の表面だけです。

舌や歯ぐき、口腔粘膜など、通常の歯磨きだけではケアしきれない部分が、口の中に75%もあります

口の中全体をキレイにするためには、洗口液や液体歯磨きなどのマウスウォッシュを併用することがおすすめです。

――マウスウォッシュの選び方のポイントを教えてください

福島先生:選ぶ際のポイントとなるのが、口内の悪玉菌が潜むバイオフィルムの中まで浸透できるかどうかです。

今回の調査では約95%の人が知りませんでしたが、エッセンシャルオイル成分配合のマウスウォッシュは、バイオフィルムまで浸透し殺菌する効果が認められています

歯磨きとマウスウォッシュの併用を習慣化することが、お口の中にとどまらない全身の体調管理・健康増進に役立ちます。

 

歯周病菌のケアが腸活に繋がり、全身の健康にも繋がる!

前述のケアをしっかりしなければ、口内には悪玉菌が増殖。その悪玉菌が体内に侵入すると、身体の中のバリアをすり抜け、血液に乗って全身に回ることもあるそう。

その結果、腸内細菌のバランスを乱すだけでなく全身疾患をまねく恐れもあるのだとか。

福島先生は、「腸内細菌の多様性を高めることは重要ですが、飲み込まれた悪玉菌によって、腸内環境のバランスが乱れてしまうことは免疫力の低下につながってしまいます」とも語っています。

ちなみに免疫力の低下が関係しているといわれる病気は、アレルギー・うつ病・発達障害・非アルコール性脂肪性肝炎、糖尿病、発がん性物質の発生による乳がんや子宮がんなどがあるといわれています。

 

腸には身体の約7割の免疫細胞が集まっているといわれていて、腸活は免疫力の向上が期待できるそう。

腸活にあまり興味がないという人も、他人事ではありません。老若男女、すべての方が口内環境に気を付けて全身の健康を保ちたいですね。

Rie Kanno

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