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2016.11.06 UP

心をあたためる。冬に咲く山茶花が教えてくれること【11月7日〜11日】

11月7日~11日頃は第五十五候「山茶始めて開く(つばきはじめてひらく)」。山茶花(さざんか)が咲き始める季節といわれています。ちょうど今が冬の始まりとされ、山茶花は冬の七十二候の一番はじめに登場する花なんですよ。

どちらかといえば少し地味な印象を受ける花ですが、知れば知るほど奥深い魅力を持っています。今日は、冬の寒さに凍える私たちの心をほっこりと和ませてくれる山茶花についてご紹介します。

 

七十二候とは?

時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか? 流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。

季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。

「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。

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山茶花について

「山茶始めて開く(つばきはじめてひらく)」。山茶花(さざんか)なのに、どうしてつばきって読むの? と疑問に思う方も多いでしょう。「山花(さんさ)」は中国では椿のこと。「山茶花」という名前は、日本でつけられたそうです。

中国から伝来した頃は「さんざか」と呼んでいたそうですが、江戸時代になると「ん」と「ざ」が入れかわって「さざんか」と呼ばれるようになったとか。

山茶花と椿の花は見た目もとてもよく似ていますね。以前、九州の観世音寺(かんぜおんじ)を参拝したときのこと。境内に咲いていた山茶花の花を見てすっかり椿だと思い込んでいた私に友人が、山茶花と椿の大きな違いは花の散り方だと教えてくれました。

椿は花ごとぽとりと落ちるのに対し、山茶花は花びらがはらりはらりと舞い散り、地面に花びらのじゅうたんをつくります。観世音寺で見た山茶花の花のじゅうたんは、それは見事でした。大地が桜の花びらより色鮮やかな、赤やピンク色に。花ごとぽとりと落ちる椿の潔さもすてきだと思いますが、山茶花は散り方までやさしくて、寒さに凍える心を癒してくれます。

 

山茶花が私たちに贈るメッセージ

山茶花の花言葉は「困難に打ち勝つ」「ひたむきな愛」「愛嬌」「永遠の愛」「あなたがいちばん美しい」

冬の始まりにつぼみが開き、身を切るような冬の寒さにも負けず、2月頃まで花を咲かせます。

過酷な環境を生きぬく生命力をたたえ、「困難に打ち勝つ」という花言葉がつけられたのでしょう。しんしんと降る雪の中で控えめに花を咲かせる姿は、どんなことがあってもひたむきに愛を注ぎ続ける女性と重なるものがありますね。

「あなたがいちばん美しい」という花言葉が与えられたのは、真紅の山茶花。冬の枯れ木、一面の雪景色の中に揺れる真紅の花は、ハッとするほどの美しさ。それは、内面からあふれでる「強さ」に裏打ちされた美しさではないでしょうか。

もし、あなたが今悲しい気持ちになっているのなら、強さと美しさを併せ持つ山茶花を見て、勇気をもらってみては? きっとあなたの心にもほんの小さな幸せの花が咲くことでしょう。

 

山茶花は心をあたためてくれる花

山茶花は、誰もが一度は歌ったことがある童謡「たきび」にも、その名が登場します。

「さざんか さざんか さいたみち たきびだ たきびだ おちばたき あたろうか あたろうよ しもやけ おててが もうかゆい」

小さいころ、歌ったことがありませんか?

時代が変わって、たきびで暖をとる光景は遠い昔のものになりましたが、山茶花はいつの時代も変わることなく、冬の街や野山に色を添え、私たちの心をやさしくあたためてくれますね。

街路樹や生垣に見え隠れする赤やピンク色の山茶花に、どこか懐かしいような、ほっとした気持ちを感じるのは私だけでしょうか?

北風がぴいぷう吹いて心と体が凍えそうになっても、山茶花はいつも私たちのすぐそばで可憐な花を咲かせています。「一緒に冬の寒さを乗り越えようね」と微笑んでいるのかもしれません。

寒さに負けそうになったら、山茶花で心をあたためて。冬も元気に過ごしましょう。

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【参考】『日本の歳時記』小学館

三浦奈々依(みうらななえ)

三浦奈々依(みうらななえ)

神社仏閣ライター・フリーアナウンサー・カラーセラピスト

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