2025.11.21 UP
冬の不調は”カラダのサビ”が原因?食べ方&油の使い方で変わる抗酸化ケア

なんだかだるい、肌のくすみが気になる、疲れが取れない……冬になるとこんな不調を感じること、ありませんか?
その原因の一つが、体の”サビ=酸化”。抗酸化食材を意識して食べていても、食べ方や油の使い方を間違えると効果が減る可能性もあります。内科医の工藤あき先生に、冬の抗酸化ケアと油の賢い使い方を伺いました。
冬に”なんとなく不調”が増えるのはなぜ?

なぜ冬になると、こうした不調を感じやすくなるのでしょうか。その背景には「体の酸化」が関わっている可能性があります。
「寒暖差や乾燥が体にストレスをかけます。暖房の効いた室内と冷え込んだ屋外を行き来するだけで、自律神経は想像以上に疲弊します」と工藤先生。冬は乾燥で肌のバリア機能が低下し、日照時間の減少で気持ちも落ち込みがち。こうした心身のストレスが続くと、体内で「活性酸素」が大量に発生します。
活性酸素とは、細胞やDNAを攻撃する物質。この活性酸素によって体が”サビる”、医学的には「酸化」と呼ばれる状態に。
酸化が進むと、血管の脂質が酸化して動脈硬化の原因になったり、肌にシミ・しわ・くすみができたり、代謝が低下して疲れやすくなったりする可能性があります。さらに、酸化と糖化は負のループを形成。糖化が起こると抗酸化酵素の働きも低下し、より酸化が進んでしまうのです。
酸化予防には、激しすぎる運動を避けることや、お酒・タバコを控えることも大切ですが、生活習慣を急に変えるのは難しいもの。工藤先生は、「何かをやめるより、プラスする方が続けやすい。だからこそ、毎日の食事で抗酸化食材を取り入れることが現実的な方法です」とアドバイスしてくれました。
“抗酸化食材”もサビると効果半減してしまう?

体の酸化を防ぐために、積極的に摂取したい抗酸化食材。でも、食べ物自体が”サビて”しまったら効果は期待できません。
(工藤先生)「食べ物も大気中の酸素と反応して酸化します。リンゴを切ったときに断面が茶色く変色するのは、リンゴのポリフェノールが酸素と反応している証拠。市販のお茶やカットフルーツにビタミンCが添加されているのは、酸化を防いで栄養価を保つためなんです」
では、酸化した食べ物を口にするとどうなるのでしょうか。
(工藤先生)「酸化した食材は体内で酸化ストレスを発生させる可能性があります。例えば時間が経ったお惣菜の揚げ物や、古い油で調理されたものは油が酸化しています。せっかく抗酸化を意識しても、かえって体を酸化させてしまうことになりかねません」
程度の差はあれど、酸化した食材は本来の抗酸化力を失っている可能性が高いのです。抗酸化食材の効果を最大限に引き出すには、フレッシュさが何より重要。野菜や果物は切りたてを、揚げ物は作りたてを食べることが理想的です。
油は抗酸化成分の吸収を助けるパートナー!

抗酸化成分をしっかり体に取り込むには、油が必要不可欠です。「油は太る」「ノンオイルの方がヘルシー」――そんなイメージを持っていませんか?
(工藤先生)「実は、ビタミンA、D、E、Kなどの脂溶性ビタミンは、油と一緒に摂ることで吸収率が大幅にアップします。油と結びついてミセルという形になり、小腸での吸収効率が高まるんです」
例えば、緑黄色野菜たっぷりのサラダをノンオイルドレッシングで食べるのは、実はもったいない食べ方。油と一緒に摂るだけで、ビタミンやポリフェノールの吸収が良くなるそうです。
ただし、食べ過ぎは禁物。1日の目安は大さじ1杯程度、オメガ3系の油なら小さじ1杯で十分です。
(工藤先生)「油は種類を選べば、体の炎症を抑えたり、ダイエット生活をサポートしてくれたりと、良い働きをしてくれます。油=悪というイメージを変えて、賢く付き合っていくことが大切です」
良い油でも”古くなる”と逆効果!酸化を防ぐ使い方

せっかく良い油を選んでも、古くなって酸化してしまっては逆効果。酸化した油は体に悪影響を及ぼすことも……。では、どんな油を選び、どう保管すれば良いのでしょうか。
工藤先生がまずおすすめするのは、オメガ3系の油。
(工藤先生)「アマニ油やエゴマ油は体の炎症を抑えてくれます。加工食品には“摂りすぎると”体内で炎症を起こしやすくなる油が多く使われているので、意識して炎症を抑えるオメガ3を摂ることが大切です」
アマニ油やエゴマ油は熱に弱く、酸化しやすいため、サラダや納豆にかけるなど生のまま使うのがポイント
(工藤先生)「最近話題のMCTオイルもおすすめです。中鎖脂肪酸なので摂ってすぐエネルギーに変わるため、運動やダイエットのサポートに役立ちます」
また、工藤先生は油の保管方法についても詳しく教えてくれました。
(工藤先生)「油の酸化の天敵は光・熱・酸素。開封後は1〜2ヶ月で使い切るのが理想です。使い切れるサイズのボトルを選んでこまめに買い替えましょう。
コンロの近くは熱で酸化が進むのでNG。できれば冷暗所に保管し、遮光瓶やフレッシュキープボトルなど酸素に触れにくい工夫がされた商品を選ぶのも効果的です。他にもサビにくい工夫をしている商品もあるので、そういった商品を選ぶことが実は体のサビ予防につながります」
冬の不調予防は、体を”サビさせない”ことがカギ。そのために今日からできることは、抗酸化食材を新鮮なうちに食べ、良い油を上手に取り入れることです。
まずは家の油の鮮度を確認し、良い油をサラダに一かける。そこから始めてみませんか?

大西 マリコ
美容ライター/西洋占星術家




