2016.04.02 UP
みんなに愛される!女性の魅力は「教養」でつくられる【桜にまつわる日本文化】
いにしえの人は、夢のように美しく儚く散っていく桜を「夢見草」と呼んだそうです。
まさに桜の美しさは、儚い夢のよう。一瞬で消えてしまうからこそ、人は「今この瞬間の美」を心に深く刻みたいと思うのかもしれませんね。
桜はいにしえの時代より、和歌、絵画、文学、音楽と、さまざまな芸術を生み出してきました。
今回はお花見でちょっぴり自慢できる「桜にちなんだ教養」をご紹介します。みんなが憧れる、日本女性としての品格にあふれた心美人を目指しましょう!
何があっても「美しく」とらえられる感性を持とう
日本人は何故こんなにも、桜の花が好きなのでしょうか。その根底にあるのは「諸行無常」。すべてのものは時とともに移り変わってゆく。儚いからこそ美しいという、日本人ならではの考え方です。
日本人はいきいきと輝くものより、散りゆく桜、枯れた野原など、命が終わるさまに「情緒」や「美」を見出してきました。時の流れに無情に逆らわず、すべてを受け入れ、それさえも美に変えてしまう、まるで魔法のようです。
私たち一人一人の心のなかにも、そんな日本人の豊かな感性が受け継がれているんですよ。
世界三大美女が考える「美しさ」とは?
世界三大美女といえば、クレオパトラ、楊貴妃、そして平安時代の女流歌人、小野小町ですね。
秋田生まれの美女と伝えられる小野小町。秋田の美味しいお米「秋田こまち」や新幹線「こまち」は、小野小町に由来しています。
女性なら誰しもぐっときてしまう小野小町の和歌といえば、こちら。
「花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに」
〜春の長雨を眺めていた短い間に、桜の花の色もすっかり色あせてしまったことよ〜
あまりに有名な和歌ですね。この和歌は桜の美しさと、女性の「若さ」の美をかけています。
「桜の花が咲き、散っていくように、絶世の美女といわれた自分も、恋の物思いにふけっている間に、あっという間にその美貌も色あせてしまった」そんな思いが込められていると思ったら、切なくなりますね。
でも小野小町は、その嘆きさえも文学に変えてしまったのです。この和歌は、どんなに時を重ねても永遠に色あせることなく、小野小町の美貌とともにさらに後世に伝えられてゆくでしょう。
桜に恋したイケメン歌人たち
小野小町は桜の花に、散りゆく若さという「美」を思いましたが、平安の男性たちはまるで桜に恋をしていたかのよう。花が咲くといっては、今か今かと心をときめかせ、花が散るといってはさびしさで胸がいっぱいになる……。
考えてみれば、人が桜に感じる思いは、どこかせつない恋心にも似ていますね。
平安時代に書かれた「古今和歌集」には、散りゆく桜に思いをよせた和歌が数多く残されています。
「久方の(ひさかたの)光のどけき春の日に 静心(しづこころ)なく 花の散るらむ」紀友則
~日の光がのどかな春の日に、どうして桜の花はあわただしく散ってゆくのだろうか~
「世の中に 絶えて桜のなかりせば 春の心は のどけからまし」在原業平
~もしもこの世に桜の花がなかったら人々の春の心は本当にのどかでいられるのだが~
教科書にも載っている紀友則(きのとものり)や、数多くの女性とロマンスを重ねた平安時代の貴公子・在原業平(ありわらのなりひら)が詠んだ和歌は有名ですよね。
今年の春は満開の桜はもちろん、散り際の桜にも思いをよせて、いにしえの和歌に胸をときめかせてみてはいかがでしょう?
今年のお花見では、感性を磨きましょう
桜には、種類ごとに花言葉があることをご存じですか? 染井吉野は「精神美」、しだれ桜は「優美」、八重桜は「豊かな教養」、山桜は「高尚」。
どれも外見にまつわる美ではなく、内側からにじみ出る美しさをあらわす言葉ばかりですね。
何かと忙しく毎日を過ごしている私たち。でも、桜の季節だけは、誰もが足を止めて、今この瞬間しか味わえない花の美しさを心に焼きつけます。
「心を込めて、この一瞬を味わう」そんな時間こそが、多くの知識を身につける以上に、日本女性としての品格を養ってくれるでしょう。
大切な時間。桜の女神からの贈り物かもしれません。桜の木の下で乾杯をしながら、女を磨きましょう!
三浦奈々依(みうらななえ)
神社仏閣ライター・フリーアナウンサー・カラーセラピスト