恋愛

2014.07.21 UP

終わった恋が教えている「本当に最高の恋」の条件


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自分を忘れてほしくない。私のこと、ずっと覚えていてほしい。アッサリ別れてしまっても、大泣きして別れても、ずっとずっと濃かったんだ。自分たちの付き合いって。

恋の終わりには、まあ、そんな風に思うわけです

 

いろんなことを思い出す。あの人にも忘れてほしくないけれど私自身、忘れないようにしよう。

あんな話をした。あの街のあの店で、おいしいパスタを食べた。そうしたらあの人、それをすごく気に入っちゃって……というような、はたから見れば、つまらないできごと。それが宝物になるの、だなんて。

しかし、別れてから思い出す記憶ってなんで、セックス以外の思い出なんだろう。女友達に聞いてもみんなそう言います。「ああ……確かに思い出さないね」と。

 

セックスのことなんて、ほとんど思い出さない。ぼんやりとした思い出でしかない。恋人の、その時の顔? ……いやいや。そんなものはあまり。腕や指などの一部分は思い出すけれど。

ちょっとは思い出してみるとするなら、ピロートークの内容。それだって、色っぽすぎる内容なら忘れている。

 

思い出はセックスのことなんかより、なにを話して笑ったか。なにを考えて、なにをしたのか。そのパスタを食べているとき、手をつないでいるときどう思ったのか。

女の追憶は、「行動に伴う感情」にあるのです。男は全然覚えていないらしいですよ。「そこに確か行ったな。食ったものはなんとなく覚えてる。でもなにを話したかは……」

ま、脳の構造が違うらしいから仕方ないと言えば仕方ない。そのくせセックスのことは覚えているみたいでね。

 

「女って思い出さないんだよね、そういうのは」と言うと、不思議そうな顔をするか、失望の色を浮かべたりする。感情とセットになってないから、単なる行動のことしか覚えていないんだろうなあ。それはちょっとがっかりだ。

 

だから私が女の子に対していつも言うのは、セックスばかりしないで、思い出を作ったほうがいいよ、ということ。別れたあと、セックスの内容なんて私たちは思い出さないから。

何を話してなにで笑ってどんな気持ちでいたかをよく思い出すことになる。だから、たくさん楽しいことをしたほうがいい。

ということで、セフレという付き合い方は究極的にさみしい。

 

私はそんなエロい思い出なんていらないな。楽しくって幸せな思い出がたくさんたくさんほしいと思います。そのつど上書き保存するのだとしても。

 

たぶん、付き合っているときは誰だって喜んでもらいたくて頑張ったりしたんだろうし、自分も喜びたいから張り切ったりした。そして「いい思い出を残してやる! 強烈な私とのベッドの思い出を!」だなんて思ったりもしたけれど、男の方に残っているのは、ただの「すごいことした女とやった」という勲章だけだった。

頑張ったからって切なく美しい思い出になるわけではない、と知って愕然としましたねぇ。

終わった恋のセックスの居場所なんてないと思ったほうがいいかもしれない。だからセックス以外のデートもしようね、マドモアゼル。

 

せつなさと淋しさの違い問うきみに口づけをせり これはせつなさ   田中章義

※ 俵万智 『あなたと読む恋の歌百首』 (文藝春秋) 2005

 

せつなくて淋しい、あなたとのくちづけの記憶だけでいい。あまり激しすぎると

きらめきが消えてしまう気がするんだよね。

 

Photo by 霖霖七

たえなかすず

たえなか すず

(歌人/ライター/コラムニスト)

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