恋愛

2013.09.17 UP

愛の形は人それぞれだけど・・・「母の人生とラプンツェル」に見る「さとるり的思考」


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あえて閉じ込められた空間にとどまり、その中で小さな幸せを見つける『塔の中のラプンツェル』状態の女性がいます。

 

彼女たちは積極的に外に出ようとはしません。それが本当に幸せだと思っているのかもしれませんが、本当は、外の世界にもっと大きな幸せがあった時に、困ってしまうからかもしれないな、とも思っています。

 

だからあえて、塔の中にこもるということは、堅実で賢いことなことなのかもしれませんが、しかし、塔の中で過ごすには、一つだけ注意しなければならないことがあります。

 

塔の中は小さく動き回ることができない。その上管理者に面倒を見てもらわないといけない生活を続けていると、やがて自分ひとりで生きていけなくなるかもしれない、ということ。

 

たとえば私の母がそうでした。学生時代から父と婚約状態にあった母は、社会に出ることなく家庭に入り、それが今でも続いています。

 

母は一度も「主婦は退屈だ」とか「働きに出たい」と言うようなことはありませんでした。

それは今の生活が満足だからというより、専業主婦以外になったことがないから、なってみたいとも思えないのでしょう。

 

それは幸せなことかもしれませんが、ただし、母はあまりにも世間知らずで、新幹線のチケットのとり方すら分からない女のです。冗談抜きにして、彼女は父がいなくなったら、自分では生きていけないでしょう。そもそも彼女は、お金を稼ぐ術ももっていないわけですから。

 

そう。塔の中で面倒を見てもらって生きる生活は、自分を怠けさせる。気づいたときには足は腐りはじめ、やがて誰かにおんぶやだっこをしてもらわなければ、自分の足で立つことさえできなくなる

 

また、それとは別に、母はいつも父に文句ばかり言います。

でもそれは父も悪くないし、また、母も悪くないのです。

 

どんなに愛している相手だって、24時間365日何十年と一緒にいれば、悪いところも目に入ってきます。

 

外に出て色々な人を知れば、

「この人野蛮ね。うちの旦那は物腰が柔らかいわね」とか、

「ああ普通の男って、料理はしないのね。うちの旦那はやっぱり優しいわ」などと、周囲と比較することができて、結果、

「やっぱりうちの旦那でよかったわ」とも思えるわけですが、私の母のように、塔に閉じこもり、知っている男が父しかいないなんて状況だと、話が違ってきます。

 

「なんかもうちょっと違う何が欲しい」というような飽きからくる、漠然とした不満が募り、特に相手の短所でもないところばかり気になって、いちいち不満をたらたらと言いたくなってしまうのです。

 

主婦は他にストレスのはけ口がないと、旦那にすべてが押し付けられる、などと揶揄されるわけですが、おそらくひも解いてみると、そんな事情があるのでしょう。

 

塔の中には幸せが詰まっているかもしれません。でも、知らず知らずのうちに、その小さな空間に、「幸せはこの程度? もっとあるんじゃないの?」という、本人さえ無自覚な意識が滞り、やがて幸せを壊してしまうかもしれません。

 

それでも、外に出てもっと大きな幸せを見つけてしまうのが怖いという人は、たまには部屋の窓を開ける……つまり、他の男性のいる飲み会に行かないまでも、参加者が女性限定の習い事に行く、ぐらいのことはしてもいいのかもしれないな、と思うのです。

 

だってやっぱり、塔の中は、退屈でしょう?

 

Photo By Yuliya Libkina

メルヘン 可憐子

メルヘン可憐子

(コラムニスト/エッセイスト)

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