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2014.10.15 UP

秋の夜は江戸の遊郭にタイムスリップ!?女の生き方をじっくり考えられる1冊


0b9779d763717283680fefd6fd97ee27 世の中にあふれている恋愛小説。しかし、読み終えた後に甘美な思いを残しつつ、物悲しさで胸がいっぱいになる小説は、なかなか少ないものです。   わけもなく、物思いにふけってしまうこの季節。秋の夜長に、しっとりとした切ない物語を読んでみたくなったら、宮木あや子さんの『花宵道中』(新潮社)で江戸の遊女の世界を垣間見てはいかがでしょうか。 同作は、11月8日(土)公開予定の映画『花宵道中』の原作。映画の中で、女優の安達祐実さんが大胆な濡れ場を披露することでも話題になっています。

「官能」以外の遊女の日常も見どころ!

128571 「吉原」が舞台と聞くと、官能シーンが多い「エロ小説」を想像しがちです。しかし、ここはあえて官能以外の部分に目を向けてほしいと思います!   江戸末期の吉原・山田屋を舞台とした5本の短編からなるこの物語。表題作「花宵道中」の主人公・朝霧をはじめ、その妹女郎・八津、三津、姉女郎で京都島原の遊女・霧里とその弟の半次郎など、山田屋で生きる遊女を中心としたさまざまな人間模様がこの物語の本髄です。 冒頭の「花宵道中」では、直球で官能的な描写が長いため、ともすれば「これは単なる官能小説か?」と思ってしまいがちです。   しかし、そのあとに続く「薄羽蜉蝣」や「青花牡丹」などには直接的な性描写は少なく、普段あまり描かれることのない遊女の日常や吉原の行事、廓の仕組みなどの描写が多くを占めています。また、前後の物語とリンクしているため、物語の中にグイグイと引き込まれます。

「吉原」で生きる女性たちの心理描写がリアル!

f3e4cf285410e3bd61a150a960f2b7de 現代の風俗産業の原型である「遊郭」。中でも、江戸時代に日本最大の色街とされたのが江戸の吉原です。 現代の事情と大きく違うのは、そこで働いていたのが「生活や借金のために売られてきた」「吉原で生まれ、吉原の外に出たことがない」など、特殊な生き方を強いられた女性たちだということ。いわば、彼女たちは「吉原」という“女の牢獄”から出ることができない運命を背負っていたのです。   しかし、そんな吉原の遊女たちも、蓋を開ければ年頃の女の子。他の見世(店)の遊女たちと一緒に茶屋でお茶を飲んだり、時にはガラス細工屋から桃色のキレイなガラス玉を買っては幼い子供のように目をキラキラと輝かせたり……。町娘と変わらない一面も持ち合わせていたのです。   f0d70f2eb9494de8d76a642e446f4936 「ひたすら性奉仕だけを強いられる」というイメージを持ちがちな吉原の遊女。実際は、そんなイメージからかけ離れた普通の日常がありながら、彼女たちは夜になればまた男に性を売るために見世に戻っていきます。   そんな彼女たちの生き方を目の当たりにすると、女として生きていくことのつらさや、女性が持つ芯の強さを感じます。そして、読み終えたころには、自分の女としての生き方や、この先進むべき道を改めて考えたくなるでしょう。 そんな読後感も、秋の夜長にはぴったりかもしれませんね。   photo by Pinterest

コマツ マヨ

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