ハピネス

2014.04.21 UP

「モンスター」と「グロテスク」私を幸せにするアイテムイテム


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このところテレビで見かけることの多くなった百田尚樹さんの『モンスター』を読みました。確か高岡早紀さん主演で、映画にもなった作品です。

 

主人公の顔は、かつて畸形的なまでに醜くかった。

その子が小学校の高学年になったとき、「バケモン」だけでなく、「怪物」「ブルドッグ」「半魚人」「ミイラ女」など、様々なあだ名をつけられて、教室中の笑い者となります。

前半は主人公の恋愛話や高校に入学した頃のお話で、まぁ、何てことない段取りですが、中盤部分から、俄然、おもしろくなってきます。

整形をはじめるのです。まず、目、それから鼻、そして唇と、顔全体をやりはじめます。

 

<生まれながらにして絶世の美女なんて滅多にいるものじゃない。モデルたちがさらに美しくなるのを目指すように、私もまた私なりに美しくなるように頑張っているのだ>

 

途中、こんな風に書いてある場面がありますけど、わかる気がするのです。

だって、誰だって「絶世の美女」に生まれてきた、と思うことはありますものね。だけど、この未帆(整形する前は和子と言います)はしあわせです。英介という最愛の人と巡り合ったのですから。

 

それで、桐野夏生さんの『グロテスク』を読んでみたくなって、上下巻を読み返しました。

1997年3月に起こった東京渋谷の円山町で起きた事件を元にした物語で、脚色されていますが、この話がやたらとおもしろい。被害者は慶応大学経済学部を卒業し、東京電力という一流企業に勤務する39歳のキャリア女性で、夜は売春をしていた、という実話を元に作られています。

 

「東京電力」と聞くと、私はこの被害者のことが頭に浮かぶくらいです。容疑者もこのあいだ「冤罪」で釈放になりました。

 

ユリコというそれこそ類まれな美少女が出てきて、そこからQ女子校の話が俄然、おもしろくなってきます。

ユリコは「怪物」と言われるほど、美しい(Q女子校というのは、ヒエラルキーの頂点みたいな学校です)。

 

<誰か声をかけて。あたしを誘ってください。お願いだから、あたしに優しい言葉をかけてください。綺麗だって言って。可愛いって言って。お茶でも飲まないかって囁いて。今度、二人きりで会いませんかって誘って>

 

これはグロテスクの中の「佐藤和恵」。それこそ東京電力に勤めていただろうと思える女性の言葉です。

この話には、救いがない。男が女をどう見ているか、女はどう生きていけばいいのか、そもそも女とは何なのか、ということを考えさせてくれます。それでいて、読後感は爽快です。読んでみない手はないと思います。今度の連休にでも、手に取ってみてはどうでしょうか。

 

「モンスター」と「グロテスク」、どちらも似た題名ですよね。さてあなたは、モンスターでしょうか、それともグロテスク? どちらも違う! と言えるのなら、あなたはカメレオンかもしれません。

 

※引用 『モンスター』(百田尚樹)幻冬舎文庫 & 『グロテスク』(桐野夏生)文藝春秋

Photo by Pinterest

かわの ももこ

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