2014.03.27 UP
愛されるより、愛したい! 私を幸せにするアイテム
世の中には、本が溢れている。本屋さんに行けば大量の本が並び、本それぞれに作家もしくは作者の名前がある。
今回紹介するのは、1956年に書かれた本だから、出版されてから60年近く経っているものである。
題名は『愛するということ』。原題は『The Art Of Loving』。つまり直訳すると「愛の技術」ということになる。
愛の技術って、何? 愛に技術なんているの? と考えてしまうけれど、愛にもちゃんと技術が必要だ、ということがわかりやすく書いてある。また今の時代、愛の技術を育てることがむずかしい、ということも書いてある。
「愛されること」を主題にした本は多い。
インターネットでも「どうしたら彼に愛されるのか」「どんなファッションが受けるのか」」「どうしたら素直で可愛い自分を出せるのか」なんて数え上げたら嫌になるくらいたくさん出てくる。
じゃあ、愛するためには、どうしたらいいのか、と尋ねられると、言葉につまってしまうのではないだろうか。
合コンもあるし、ネットでも出会えるし、なんて思っていても、自分が本当に「愛する」対象に出会わなければ、どうしようもないこともわかっていると思う。
「愛は能動的な活動であり、受動的な感情ではない。その中に『落ちる』ものではなく自ら『踏み込む』ものである。今まで、私たちが『愛』だと思っていたものは本当の『愛』ではない」
「人間は孤立することを、もっとも怖れる。孤立は強い不安感を生む」
なんて言葉があったりして、ひとり「う~ん……」となってしまう。
「世の中で一番大切なものは、別に愛じゃないでしょ?」なんて言っている人だって、じゃあ、何が大事? と聞かれたら、「お金」や「今の自分の立場」って答えることができるだろうか。
やっぱり死の床で考えるのは「私はあの人を愛した、そして愛された」っていう記憶じゃないか。
どっちにしてもお金はどれだけ貯めたって向こうの世界には持っていけないし、自分の立場なんてこの先どう変わるかわからない。
私たちが今こうして生きているのだって、愛があったからではないだろうか。
この本を読んだからといって、モテるようになるわけでもないし、恋愛というものに詳しくなるわけでもない。
私のように読みながら「う~ん……」となることもあるけれど、読んでみて後悔するような本ではないことも確かだ。
むずかしいと思うところは飛ばして読んでもいいから、自分が考えている「愛というもの」と比べてみるのもいいかもしれない。
きっと「私は、愛されたい」じゃなく「私は、愛したい」と思うだろう。
Photo by Pinterest

かわの ももこ
(ライター)