ライフスタイル

2013.09.11 UP

どこまで堕ちるか、女の人生!~絶望の先を見てみたくて~【第12話】


5183246642_dbdf9cfe26_b

割れたグラスの底からこぼれる水は、私の心を傷つける

 

かつて自分が付き合っていた人は、二股くんのいうグラスという概念があるとするならば、それこそ私のグラスに惜しみなく愛という名の水を注いでくれる人だった。

でも私は、なぜだかいつまでたっても満足することができなかった。

「ねえ、もっとちょうだい、もっと、もっと、足りないわ」私は水を、つまり愛を求めた。

 

「私のこと本当に好きならあんなこともできるよね? こんなこともできるよね?」

 

いかにグラスいっぱいに愛をくれるかが、私にとっては自分の価値を測るバロメーターでしかなくて、それ以上に価値のあるものではなかった。つまり私は、彼を愛していたわけではなく、愛していたのは自分自身だったわけだ。

 

しかも自分の価値など、他人からの愛の大きさなど測れるはずがないのに、私は懸命にそれを測ろうとしていたのです。

 

彼はすべてを応じてくれたけど、やがて限界がきた。まあ、当たり前だよね。

 

別れを切り出され、私は泣きながらも頭の中でいやに冷静なことを考えていた。

「やっぱり、ダメだったか。当たり前だよな。そもそも私のいうことなんでも聞く男なんてずっとイヤだし、別れてすっきりした」

 

悔し紛れでなく、本気でそう思ったとき、気づいてしまったのです。

 

私のグラスには、どうやら穴が開いているらしい。

いくら愛を注がれども、注いでいる先からどんどんこぼれていく。

だから、私のグラスは大きいわけでもなんでもなく、ただ底が割れているから、そこにいくら水を注ごうと、一生満たされるわけがないのです。

 

であるならば、もう、愛を注いでくれる人なんていらない。

 

そうだ! 好きな人を見つけよう! 愛を注いでくれなくても、一緒にいるだけで勝手に私の中で満たされていくような、そんな恋愛をするんだ!

 

そうして私は夜の街を飛び出し、新宿の街で件の彼と出会ったわけです。

ゲームの世界から抜け出したような出で立ちの彼は、ゲームが小さいころの私に夢を与えてくれたように、私にたくさんの夢を与えてくれはしたけど、しかし水を注いではくれなかった。

 

でもたまにスコールで潤うから、私はそれで十分。

いつの間にかサボテンのように強くなっていたというわけよ。ふふん。

これこそ、私の選んだ「幸せ」の形。

 

だから私は、1日の大半は、とても元気に過ごしている。

他人にも、「私のダーリンがね!!」なんて、惜しみなく話す時がある、

「え?ダーリンって……あの二股の?」と訝しげに言われるわけですが、そんなことは気にしない。

 

「何を言っているの、平安時代はこんなもんでしょ。私は、そうね、源氏物語でいうところの朧月夜ぐらいのポジションがいいな(紫の上と言いたいところを、若干強がってみる)」

と、ドヤ顔で大昔の物語を持ち出すと、

 

「ルリちゃん、ここは平成の日本だよ。それに朧月夜はえらい人からも愛されてたからダブルで浮気で、お互いフェアだったけど、そんな人もいないルリちゃんに、そんな余裕があるとも思えないよ」

なんて冷静なその突っ込みをされて、私は言葉を詰まらせたね。

 

やはりここは平成の日本。どんなに自分が良いと思っても、他人の目からは許されないことってあるみたいです。

私はこんなところで書いちゃってますけれど、こういう相談をするとき、友人はよく選びましょう。ドン引きされちゃうからね。

 

そして、「彼氏いるの?」なんて聞かれたら

「うん……まあ一応いるけど……」と暗い顔で曖昧に答えましょう。

 

「きっと今、彼氏とうまくいっていないんだろうな」と勘違いしてくれて、あなたをひそかに狙っている男性が、あなたを今の苦しみから救い出してくれるかもしれませんよ!

今や、私にはそんなこと聞いてくれる人もいませんけれども!

 

……こんなコラム書いてたら当たり前か。

 

Photo By Vix Walker

メルヘン 可憐子

メルヘン可憐子

(コラムニスト/エッセイスト)

≫このライターの記事を読む


アプリで、ANGIEがもっと快適に。

  • お気に入り機能で便利に読める
  • プロライターによる最新情報が充実!
ページの先頭へ