ハピネス

2013.09.07 UP

どこまで堕ちるか、女の人生!~絶望の先を見てみたくて~【第8話】


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恋愛感情の裏に潜むもの

今までめったにメールをしなかったのに、ゲームを作ろうとなってから、連日のようにスカイプでチャットをするようになりました。

 

当然今まで見えてなかったものも見えてきます。主に彼の活動時間。

 

どこで何をしているかナゾに包まれていた彼でしたが、会社で仕事して帰ってきて、プロジェクトに費やす活動時間は夜中の2時から明け方6時。

 

この2~6時にチャットをしていると、彼の疲労困憊が伺える。土日もほぼ仕事のようだし。

 

最初は、「なんだかな~、こんな1秒も無駄にしてられない中、ほかに女がいるんだとか疑って申し訳なかったぜ!」なんて反省したものです。

 

モノづくりの方向性の違いからチャットでは毎日のようにケンカばかりしていた時期もありました。

ムカついてたまらないときもあったけれど、それでも一緒に作りたいと思った。

 

気づいていますか? みなさん、これって、恋愛感情にとっても近いんです。

 

今までの「彼のすべてが好き」的な感情が、芸能人に憧れるファン的な感情だとしたら、この「もっとこうしてほしい、ああしてほしい」という、自分の思い通りに動かしたいという欲望は、いってみれば恋愛感情なのです。

 

私は知らず知らずのうちに、こうして堕ちていったのです。

そう、「堕ちる」ってこういうこと。

単に恋した、二股された、では「堕ちた」とはいわないのです。

誰かを自分の所有物にしたいと思ったとき……そのためにあがくとき、人は「堕ちる」のでしょう。

 

ようやくここで、決定的な瞬間のお話をしましょう。

「二股かけられてるっていってるくせに決定的な話がないじゃない!」と、みなさん、イライラしていたころかと思います。

 

私だってまさか「ほかに女がいるだろうな~」ぐらいでこんなコラムは書きませんよ。

決定的な瞬間を見つけてしまったのは、その日。

 

その日は、私と彼が共通で使っている、プロジェクト用のフリーメールに、私宛のメールが届いていたようです。

 

「見といて~。パス○×△で入れるから」

と彼がいうので、私はドメインをコピペしてそのパスを貼り付けました。

 

「ん……?」

 

通常このメールの中は、デザイナーさんやサウンドさんからのメールばかりのはずなのに、なんだか開いたメールは、いつもと様子が違う。

 

「あかね」「まなみ」「まあ」……、女の子の名前のついたフォルダがぎっしり。

 

そこでようやく、そのメールが、彼の個人使用しているフリーメールであることに気づいたのです。

私ってば、間違ってそのドメインを貼り付けてしまったらしい。やだ、さとるりってば、おっちょこちょい! と思いつつ

おいおい! 共通アドレスのパスワードぐらいプライベートとは別のものにしろよ! と思いつつも、

「まずいまずい」と思った私は慌てて、ブラウザを閉じました。

 

行動や思考はこのようにいたって冷静でしたが、頭の中は真っ白でした。

 

全身がぷるぷる振るえ、一気に体中の熱があがり、職場の人にも「どどど、どうしたのその顔!?」といわれるほど、顔が真っ赤になっていたようです。

 

怒り? 悲しみ? いいえ、そのときはもう、わけがわからなかったのです。

ただただ、私は混乱していた。

 

だから私は、「そんな熱がある状態で大丈夫なの?」といわれながらも、次の仕事の打ち合わせに向かったのです。

だって、そのときの私は、仕事がすべてだったから。彼に裏切られてプロジェクトもできなくなるかもしれない今、なんとしても、仕事だけは失うわけにはいかなかったのです。

私の中に唯一、譲れないものが残っていて、本当によかった。今でも心からそう思います。

Photo By victoria white2010

 

メルヘン 可憐子

メルヘン可憐子

(コラムニスト/エッセイスト)

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