ハピネス

2016.08.26 UP

【服×心】ファッションから生まれる認知の歪み…あなたは大丈夫?


体に身につける洋服、そしてファッションアイテム。これらは「自分とは?」を表現する一つで、「こういう風に自分を見せたい」というセルフブランディングのことを、心理学では“自己呈示”と呼ぶことを前回はお伝えしました。

今回は、服やファッションアイテムを選ぶ際、人の心はどのように動いているのか? といったことを解説していきましょう。

 

心の状態を表すファッション

身につけるファッションは、心の状態を表すことも少なくありません。オープンな性格の方は、露出度の高い服を着る傾向があります。その人が心を開いているかどうかを見計らうのに、ファッションはとても役立つことがあります。

例えば私のところにカウンセリングにくるクライアントさんたちのなかで、心が疲れてしまって、人と接することを恐れている人は、暗い色の服を着ていることがよくあります。過去にイジメを受けた経験があり、以来引きこもりを続けて社会に復帰できないことを苦にしておられるAさんはいつも全身黒ずくめです。はたまた、なかなか本音を話してくれなかったYさんは、真夏でも首元がタイトな服を着ていたのが印象的でした。

このようにファッションから人の心を探ることをテーマに周りを見渡してみると、興味深い人が身近にもいるのではないでしょうか。

 

アンカリングを利用してファッションで安心感や自信を得る

例えば、昔流行ったものにずっとしがみついているタイプの方、周りにいませんか? アムロちゃんが流行ったときに青春時代を送った方が未だに細眉をキープしている……などという姿を見たことがあるのではないでしょうか。これは自分が一番輝いていたときの格好にしがみついているためです。

そのファッションを身に纏うことで、過去の栄光や自分がブレイクしたときの華やかさをも一緒に身に纏っているのです。ある意味衣装のようなもので、気持ちを切り替えるために着ている方もいるかもしれません。ちょうど芸人さんが、日常ではありえないようなおもしろい洋服を着ることで、「自分はおもしろい人なのだ」と表しているようなものです。

しかし、日常的な生活のなかで“衣装”を必要とするのは、そのファッションでないと自分を出せないという心理状態。輝いていたときのファッションを着ることで、そのときの蘇りや安心感が生まれ、自信につなげているのです。これは依存に近いと言えるでしょう。

心理学でアンカリングという言葉があるのですが、例えば恋愛がうまくいっていたときに彼氏と一緒によく聞いていた曲を、別れてから5年後、10年後に聞くと、懐かしく幸せな気持ちになることがあります。こういう現象をアンカリングと言います。

特に、匂いは一番強く記憶と結びつくと言われています。実家で使っていた柔軟剤の香りを嗅ぐと心が落ち着くなどの経験を持っている方もいるかもしれませんが、このように音楽でも香りでも何でもいいのですが、リラックスするための何かを持っておくといいとよく言われています。小さい頃に持っていたぬいぐるみを、大人になっても持っている人っていますよね。

こういう感じで、輝いていた頃の服を着ることで自信のスイッチが入る人は、アンカリングを上手に利用していると言えるでしょう。

 

アンカリングもいきすぎると認知の歪みに!?

自分が輝いていた頃のファッションを取り入れることで自信をつけている人もいる一方、これがいきすぎて病的な印象を与えてしまう人もいます。例えば、毎日まったく同じヒッピーファッションをしている人や、頭のてっぺんから足の先までピンクずくめの人など。おそらくピンクずくめの方は、家のインテリアもピンクずくめのはずです。全部ピンクじゃないと気が済まない、ピンクがあったら買わなきゃいけないという強迫観念にとらわれていると言えるでしょう。

ここまでくると“認知の歪み”です。心理学で言う認知とは、一般的な認知と違って、考え方やものの捉え方を指します。同じ事件が起こっても、プラスに捉える人がいれば、マイナスに捉える人もいます。これが認知の違いです。

認知は、育ってきた環境や経験、コミュニティなどによって誰しもが歪みを持っています。この歪みには10種類あり、LINEで既読スルーされたら許せない人がよくいますが、これも「LINEがきたらすぐに返事をすべき」という認知の歪みの一つです。つまり、「流行についていかなきゃ」と強く思いこみ、こだわってしまうのも認知の歪みなのです。

あなたは今、流行のファッションを取り入れることを「楽しい!」と思っていますか? それとも「流行についていかなきゃ」とストレスに感じていますか? 一度立ち止まって考えてみると、不安な心が解き放たれるかもしれません。

 

次回はいよいよ“流行依存”のメンタリティについて、グッと迫ってみたいと思います。お楽しみに!

 

山名祐子

メンタルオフィス「やまなmental care office」代表臨床心理士。

大学院にて心理療法の心得と技術を学び、2013年に臨床心理士の資格を取得する。主に認知行動療法によってカウンセリングをすすめ、心の専門家としてメディア出演をはじめ幅広く活動中。

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