趣味

2014.01.14 UP

【恋に効くアート】vol.1 兄と弟、両方食っちゃったらねえ・・・世界的な女流画家に見る「愛されつつ、成功する秘訣」とは? 


西野さん

耳にタコなお話ですが、男はフォルダ分け女は上書き保存する生き物だとよく言われます。男にはない、記憶をキレイに上書き保存できる女の性(サガ)。実はこれって、最強の武器ではないでしょうか? 一見謎の多いアートの世界でも、それは同じ。

今回は、その武器を利用して成功を勝取った女性画家と、絵に隠された裏話をご紹介します。

 

まあなんというか不倫が始まりまして・・・

まず、この1枚の絵。描かれた女性の名前はベルト・モリゾ。フランスで成功をおさめた数少ない女性画家です。そして、描いたのはエドゥアール・マネという、スキャンダラスな絵描きとして話題の男でした。駆け出し作家だったモリゾと売れっ子で既婚者のマネは、出会ってすぐにモデル件教え子の関係になりました。そう、表向きは。

このふたりの恋愛関係は、すぐ噂になります。禁断の恋が燃え上がらせるのか、絵を通して互いに向けられたふたりの視線は、人目もはばからず挑発的に絡み合っています。そしてマネもそれに応え、モリゾを美しさと知性に溢れた女神のように描いています。

 

やっぱり女性のほうがわりとおいしい思いをし始めて・・・

その後、モリゾはマネのもとでメキメキと力を付けてのし上がって行くのですが、ちょっとずつふたりを取り巻く状況が変わって来ます。

モリゾはマネが出入りしていたグループの男たちと交流し、そのグループのアイドル的存在になっていきました。その当時の様子を、モリゾは姉に「私、運命の女だって言われてるの」とぶっちゃけています。自分が手塩にかけて育てた女性がどんどん変わっていく様子は、マネにとってさぞかし面白くなかったことでしょう。

 

案の定、男は捨てられると。

そしてついに、ふたりにとって決定的な事件が起ります。モリゾがマネを捨てて結婚したのです。しかも、お相手はマネの実の弟でした。マネは、婚約直後のモリゾをモデルにした絵を最後に、彼女を描くのを止めてしまいます。

最後に描かれたモリゾは婚約指輪をつけ、描き手のマネにそっぽを向いています。また、幸せな花嫁であるにもかかわらず、モリゾの顔は美しさや若さの欠片も無い疲れたオバサンみたいに描かれ、無表情です。それは、かつてマネが愛したモリゾとは、もはや別人なのでした。

当時、マネは激しい嫉妬にかられていたかもしれませんが、まぁ、不倫関係だし、アイドルを独り占めできた時もあったのだから、涙を飲むほかなかったでしょう。

一方、モリゾは愛する家族に囲まれて、生涯子供や家庭内の様子を描き、今も彼女の絵は世界中で多くの人に愛されています。著名なひとりの女性画家として。

 

いかがでしたか?

モリゾが成功した要因は、未練に負けず、さっぱり過去を精算し、上書き保存していたことにあるのではないでしょうか。その潔さにマネは惹かれ、また多くの男性を魅了し、支援を得られたのかもしれません。

彼女のように、確実な上書き保存→自分自身のアップデートをしていくのが、男性諸氏から愛され、かつ出来る女の嗜みなのかもしれませんね。でも、やり過ぎには気を付けて(笑)

 

ところで、モリゾとマネのその後ですが、没後、彼らは同じお墓に埋葬されました。なんと、モリゾの夫でマネの弟も一緒に。3人は今も仲良く同じ墓石の下に眠っています。かつての歪な三角関係を忘れてしまったかのように、安らかに。

 

Photo by  http://www.eternels-eclairs.fr/tableaux-manet.php

マネ <すみれの花束をつけたベルト・モリゾ> 1892年

 

※引用、参考

アメリア・アレナス著『絵筆をとったレディたち』

東京都美術館、日本テレビ発行 マルモッタン美術館展図録

三菱一号館美術館、読売新聞社、NHK発行 マネとモダン・パリ展図録

Wikipedia  http://ja.wikipedia.org/wiki/エドゥアール・マネ

nishico

nishico

(学芸員、美術評論)

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