2014.02.24 UP
愛ってどう見えるのか? 視覚以外の五感を失った青年の秀逸!
「本が苦手」、「読む時間もないし、雑誌も見ない」。こういう方、じつは多いのではないでしょうか。必要な情報はウェブでチェックするし十分です! という人もたくさんいると思います。
でも、本好きな私から見ると、余計なお世話なのですが、やっぱり少しもったいないです。この世には、素敵な物語がたくさんあるし、それは現実を生きるうえで、かならずあなたの力になってくれますよ。
今回はそんな本が苦手な方にこそおすすめしたい「ライトノベル」をひとつご紹介します。
ライトノベルと言えば、そう、あの文庫本サイズで、かわいい女の子など漫画チックなイラストが表紙に描かれたティーンズ向けの、アレです。理解しやすい簡単な言葉で書かれており、読者が物語に入りこみやすくなっているのが特徴です。恋愛やSFなど、さまざまなジャンルがあります。
「ラノベ~?」と思って、侮るなかれ。近年では、大人女史でも夢中になれる作品がいくつかあるのです!
『探偵・日暮旅人の探し物』
日暮旅人シリーズで発売されており、2014年2月現在、6冊目の『探偵・日暮旅人の壊れ物』まで発売されています。 山口幸三郎(アスキー・メディアワークス)2010
今回ご紹介したいのは、探し物探偵を営む、日暮旅人(ひぐらしたびと)の物語です。
彼は、じつは視覚以外の五感を失っています。音・匂い・味・温度・痛みが感じられないのですが、これらすべてを「視る」ことで、探し物探偵をしています。
旅人とは苗字が違う、保育園に通う娘の「灯衣(てい)」ちゃんや、また保育士の「陽子」、そして旅人を「アニキ」と慕う青年「ユキジ」を巻き込み、あらゆる「探し物」を見つけに行く物語なのです。
旅人はなぜ、視覚以外の感覚を失ってしまったのか? 旅人たちの過去が少しずつ明らかになるにつれ、悪人も登場し、思わず目を覆いたくなるような事件もたくさん絡み合ってきます。
とてもシリアスでブラックなのに、愛に触れられるような温かいお話でもある、不思議なストーリーです。
「愛」や「想い」って、一体どういうふうに見えるのでしょう?
目に視えないものを見る力を持った、探し物探偵、日暮旅人の「愛」を探す物語。涙なくしては読めない、 あっと驚くハイスピードな展開と、張り巡らされた伏線にドキドキさせられること間違いなしです!
「ライトノベル界」は今とても熱くて、読者層も中高生から大人まで、幅広いものになってきています。ライトノベル作家が、ライトノベル以外のジャンルを書かれていることもあります。本が苦手な人にとっては、苦手を克服するための、ひとつの入り口になると思いますよ。
良かったらぜひ一度、読んでみてくださいね。
Photo by Pinterest, 『探偵・日暮旅人の探し物』山口幸三郎著(メディアワークス文庫)2010

さゆ
(フリーライター)