恋愛

2014.02.03 UP

長く愛され続ける方法 ~嘘がない人格の女性~

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コピーのコピーをコピーしたら綺麗にコピーできないということが、音楽や文学などの制作物においてもあります。楽譜や単行本を、複合機でコピーするという話だけではなく。

たとえばユーミンの曲は、旦那の松任谷さんがアレンジをしています。「世界の坂本(龍一)、日本の松任谷」と言われているように、松任谷さんのアレンジは、どこかしら日本人のこころをくすぐる。そういうアレンジが非常にうまいと思う。

でも、松任谷さんをコピーしても(真似しても)、いい音楽を作れる人は数が限られている。以前、ラジオ番組で、小室哲哉さんが「ぼくのアレンジャーの師匠は松任谷さんです」と(お世辞なのか本当なのかはわからないけれど)言っていたので、小室さんは松任谷さんを参考にしたところがあるのだと思う。ほか何人か、そういう人を知っている。

 

しかし、ビートルズを参考にして音楽をやっている人(または音楽で成功した人)のほうが、圧倒的に多い。つまり、なんでも一時情報は参考になったりパクれたりするけれど(ビートルズは多くの日本人にとって音楽的な一時情報と言ってもいいと思う)二次情報(松任谷さんだって、ビートルズその他洋楽をモチーフにしている)を参考にしても、パクリにくいし真の意味で参考にならないということではないかと思います。

 

ユーミンの音楽を長年、偏愛しても、ちっともモノにならなかった人からすれば、「この嘘つき!」と思うのだろうか? 偏愛した人の都合というか勝手というか、勝手な都合なんだろうけど、二次情報を世間にばらまくと、人から恨まれるのだろうか? そういう事件がなかったわけではないから、もしかしたらそうかもしれない。

 

文学の世界で嘘がない作家といえば、たくさんの作家の名前を挙げることができますが、村上春樹さんもそのなかのひとりだと思う。彼の文章には嘘がない。

村上さんは、アメリカの作家・レイモンド・カーヴァーが高校時代からお好きなようで、カーヴァー氏の作風をモチーフにしているのかどうなのか、ぼくは熱心なハルキストではないので判別がつきませんが、仮にモチーフにしていて、カーヴァー氏の二次情報としての村上さんの小説であったとしても、それに対して文句を言う人も少ないのではないかと推測する。なぜなら創作物が正直さで包まれているから。

 

なにが正直で嘘がないものなのかを決めるのは、多くの場合、その人の主観的な価値観だから、松任谷さんの話も、村上春樹さんの話も、話半分に聞いておいてほしいのですが、でも、嘘がない人格の女性って、長く愛されるものです。なんといっても嘘がないのだから。

 

じぶんに対して嘘のない仕事に就こうと思えば、ちょっとむつかしいと思います。サラリーマンの人がよく口にするのは「私は(ぼくは)我慢してお給料をもらっているのだから」という言葉で、そこには、じぶんに嘘をつきつつ勤めているご苦労がにじみ出ていると思います(そう思いませんか?)。

じぶんに対しても、彼氏に対しても、嘘のない生き方をしようと思えば、もっとむつかしいと思います。お天道様に嘘をつかずに生きようと思えば、ぼくも含めほぼ全員が絶望的だろうと思います。

嘘のない生き方は、それくらいむつかしいけれど、嘘のない生き方がにじみ出ている作品の多くは、長く愛されているわけですから、嘘のない生き方は志すに値するのだろうと思います。もっともこういうコラムには作家的嘘も含まれているので、話半分で聞き流していただきたいと思います。

 

Photo by Pinterest

ひとみ しょう

ひとみしょう

(小説家/作詞家/ANGIEシニアライター)

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