恋愛

2014.06.04 UP

EXILEに共感できない僕、この世で1番羨ましいカップルの話

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あれから 数えきれないほど 夢を叶えてきたけど 心はまだ君を思ってるよ

(『Someday』/EXILE  作詞:ATSUSHI )

 

ドラマや映画のセリフなどから、僕・霜田が心に残った“恋に効くコトバ”を引用し、恋やら愛やらを語っていくこの連載。もちろん、好きなものをどんどん出していっているのですが、「これを紹介したらどう思われるんだろう……」という怖さは当然ありまして。

例えば、前回みたいに小沢健二から入るとかっこいいかな、とか。その逆でEXILEを引用したら、大衆的なものを悪とする人たちにバカにされるかな、「マイルドヤンキーか!」ってつっこまれちゃうかな、とかね。

 

でも、今回は称賛と怒りをこめていっちゃいます。紹介するのは、この度5年ぶりにメンバーを増員したEXILEの、前回の増員時の第1弾シングルとなったこの曲。ボーカルのATSUSHIが詞を書いていて、メンバーが増えた当時の高揚感も重なって好きなんですよ。好きなんです、が。

 

ただ、もう、冒頭に挙げたこのサビのフレーズだけで大きく理解できない点が2点あるんですよね。

まず、そもそも“数えきれないほど夢を叶えてきた人間”なんて、本当に本当に一握りですよね。そりゃあATSUSHIさんは、そうかもしれないですけど、まだ僕は1個も夢かなえてませんし。むしろ、全日本的には、夢を1個もかなえてない人のほうが多数派だと思うんですけどね、これ、ホントに大衆に受け入れられると思って歌ってるんですかね、という疑問です。

まあ端的に言うと「え、それ夢をかなえまくったあなたから、かなえてない僕たちにおくる自慢?」ってところですよね。ええ、僻みです。

 

そして、2点目。ここで言う「君」が異性なら、おそらく過去の恋人のことでしょう。過去好きだったけど、今はそばにいない人。そして、『あれから』という部分から察するに、夢をかなえる前の時代につきあっていた人なのでしょう。そんな「君」を、夢を叶えて成功した今も思ってるよという内容です。

で、そんなことあるの? 今更純愛気取り? っていう話です。どうせ売れたら読モとかたくさん集まってきて、モテまくって、過去の献身的だった恋人のこととか、微塵も思い出してねーだろうが、って思っちゃうんですよね。

『“心は”まだ君を思ってるよ』だから、“体は”他の人のこと思ってんじゃねーのか、とか邪推したりね。ええ、僻みです。

 

さて、ひと通り毒づいたところで、僕が今、世界で1番うらやましいと思っているカップルの話です。

 

家への帰り道、僕はだいたい近くのスーパーに立ち寄ります。だいたい22時頃になることが多く、それは閉店のちょうど1時間前。その時間に行くと必ず会うカップルがいるんですよね。

見るに男は24歳前後で、長身に、肩まで伸びる黒い長髪で、おそらくバンドマンで野心に満ちた目。女は、たぶん2、3歳下の金髪のギャルでeggに載ってそうな雰囲気なんだけど、目は優しい目をしています。いつも、同じジャージを着てスーパーに2人で来ているので、おそらく近くで同棲しているのでしょう。

 

で、その2人がすごく楽しそうなんですよね。この22時前後は、スーパーの食材に、半額シールが貼られる時間帯。彼らはそれを狙ってきていて、焼きそばとかチャーハンとか割とお腹にたまるものを買っていく。「今日はどれにしよっか」とか言いながら、すごく幸せそうにしているんです。店員さんがシールを貼るのを待っていて貼った瞬間に2人で目を合わせて、輝かせたり。「あ、あれ貼ったよ、30%引きのときに慌てて買わなくてよかったね」っていう会話でキャッキャキャッキャしたり。

 

おそらく、スーパーの時間軸に自分たちの生活を合わせる様子から見るに、すごくお金があるカップルではないのでしょう。でも、僕にはすごくすごく輝いている瞬間に見えるんです。恋という字を辞書でひいてあなたの名前をそこに足しておいたときみたいに、幸福という字のところに、この2人のこの瞬間を書き留めておきたい、くらいの感じに。

 

彼らが買っていった半額のシールがついたシャンメリーが、六本木のクラブのVIP席に座った大手商社の人たちがポンポンと空けてる数万のシャンパンよりも、尊いものに見えるし、きっと尊いのだと信じたいと、僕はそう思ってます。

 

ただ、残念ながら、まだ、20代前半ですから、彼らのこのカップルである状態が永遠に続く可能性は、おそらくそう高くはないんですよね。それが、女が現実を見だしたときなのか、男が他の女子に目移りしたときなのかはわかりませんが、静かに心が離れていくときがきっとくるのだろうとは思います。

 

数年だか、十数年だかたった後。彼が売れて、でもそのときは、もう彼女はいなくて。リリースパーティーでシャンパンあけたりして、来てる人たちに褒められるんだけど、あんまりどの言葉も信用できなくて。この人は自分の何を見て好きって言ってるんだろう、って思ったりして。

で、たまたま入ったスーパーで、久々に半額のシールを貼られたシャンメリーを見つけて、過去のこと思い出して。今では色んな人が、好きだよって言ってくれるけど、一番最初に、そして1番大きい思いで好きだよって言ってくれたのはあのコだったんじゃないかって気づいて。家でひとりでシャンメリーをあけながら、泣いたりするんじゃないか……。

とか勝手に考えて、僕は今、偶然流れてきた『Someday』を聴いて、泣いてます。

 

文:霜田明HIRO (三宿の松屋で後輩たちを並べて牛丼をおごりながら)

Photo by Pinterest

霜田明寛
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