恋愛

2013.08.16 UP

愛か立場か ―葵の上は幸せだったのか―

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これを書いている現在私は26歳なのですが、先日ネットを見ていたら、私が昔から好きな源氏物語に出てくる葵の上という女性の没年が、ちょうど26歳だったことが分かりました。

 

素直になれない女性の代名詞、「葵の上」

私が源氏物語を読み始めた当時、作中の登場人物の中では、葵の上は個人的にはあまり好きなタイプの女性ではありませんでした。明るくて源氏からの愛を一心に受けていた紫の上や、THE・悪女という感じの朧月夜などの女性にばかり魅力を感じていました。でもこの歳になってくると、不思議と葵の上のことが気になってたまらないのです。

 

もともと高貴なお姫様で、プライドが高かった葵の上ですから、キャラクターとしては「あんまりかわいくない子」として描かれています。でも、彼女の胸のうちはどうだったのかなあと思うと、心がぎゅっと苦しくなります。

 

旦那さまには数々の女がいて、そして自分が彼女たちに比べてあまり愛されていないことぐらい、葵の上自身がいちばん分かっていた。自分が正妻なのに、よその女性のもとに通う旦那さまを見るのは、きっと寂しかったし、悔しかったと思います。

 

でもプライドの高い彼女は、「寂しい」「私のことも愛してほしい」とは言えなかったのでしょう。いつもむっすりしていて、うれしい、楽しい、といった感情を伝えられず、それでは源氏も離れていくばかり。彼女自身もそれが分かっていても、どうやったら素直に甘えられるかが、分からなかったのです。

 

それでも正妻という立場は強いのか?

そんなことを考えていた私。

絶賛不倫中の友人に、うっかり「葵の上ってさ、かわいそうだよね」なんて話したら、「はあ? あの女は正妻でしょ! 何がかわいそうなのよ」などと怒られてしまいました。

 

そのとおり。葵上は、いくら愛されていなかろうと、それでも源氏の正妻でした。正妻という立場は、縁がない女性にとっては、それほど魅力的なものなのです。

源氏に遊ばれた六条の御息所は、源氏が愛した女性を次々と呪っていきますが、源氏にあまり愛されていなかったはずの葵の上がばっちりターゲットになってしまったことを考えると、やはり人から見たら葵の上という人は、まぶしい立場にいたのです。

 

もしかすると、葵の上も、唯一のプライドは、正妻であるということだったのではないでしょうか。自分が正妻だからと、悲しい気持ちも寂しい気持ちも、ぐっとこらえて我慢していた。

 

そんな葵の上の人生が、果たして幸せだったのかは分かりませんが、少なくとも、源氏に愛されていた紫の上のほうがずっと幸せそうに見えるのは、きっと私だけではないはず。

 

現代は、結婚こそすべてという風潮がありますよね。

そのせいで色々なものが見えなくなっているのかもしれない。

 

なりたいのは葵の上でなく、紫の上。そのためには結婚という契約は、必ずしも必要なのかなあ、などと考えてしまうわけです。

 

Photo By inoc

メルヘン 可憐子

メルヘン可憐子

(コラムニスト/エッセイスト)

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