ハピネス

2013.10.18 UP

【第2回】オンナの華が咲くとき・散るとき ~マイナーな人~

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世の中には、決してメジャーになれない人がいる。

たとえばオリンピックでマラソンに出場して、15位とか28位みたいな成績に終わった人。こういう人が、走っている最中に、どれだけ絶望を感じようと、有史以来の孤独を味わおうと、死にたいほどの屈辱に泣こうと、五輪後に無職になろうと、マスコミはこういう人をあまり取り上げない。

個人的には、トップランナーの言葉より、要領の悪い人々(と言えば語弊があるかもしれない)が、必死になって28位を掴んだときの気持ちの揺れや、その後のあまりパッとしない(と言えばおおいに語弊があると思うが)人生のほうに興味があるのだけど、マスコミが報道しないので、あまり観たい番組がない。

 

1968年と2013年のマイナー

たとえば1968年に北海道の十勝沖で地震が起きた。海に流された生徒を救い出したある先生は、その後、教師の職を辞した。

人の命を守ることとの重みと、日頃の教育の現場との温度差に愕然として辞めたという。現在70歳を超えている女性だ。

 

たとえば今年の7月(23日だったと記憶している)に、東京・世田谷で豪雨が発生し、局地的に床上浸水した。ある有名なハープ奏者が所属している音楽プロダクションは地下1階にあり、運悪く、腰のあたりまで水に浸かった。

「事務所が浸水してしまって、過去の書類がなにもなくて」と、いま言ったところで、すでに多くの人になんのことかわかかってもらえないのだろうと、ぼくは想像する。

 

あるいは3.11の大震災を都内で経験して、その結果仕事を失った人もいる。都内にいて、なぜ震災で仕事を失うのか? これも経験しないとわからないことだし、経験したとしても、多くの人が「ああ、そういう人もいたよね」というふうにしか思わないのかもしれない。

 

人生は、その人にしかわからないコトや、それにまつわる個人的な想いが切り盛りをしている。

 

人に言えない小さな気持ち

あなたにしかわからないこと。たとえば20歳のときに、彼氏にひどい振られ方をしたとか、18歳のとき、じぶんの学力が足らなかったがゆえに、進学する県が彼氏と別々になってしまい、不本意な別れ方をしたとか、こういう「いまさら誰かに言ったところで“ふうん”で終わらされてしまうようなこと」。

こういう思いをずっと胸に抱えている女性は、何歳になっても華が咲くのだろうなと思う。決して日の目を見ることのない、小さな小さな個人的な憂いや喜びが明日を運んでくるのだから。

 

【画像】 gatag

ひとみ しょう

ひとみしょう

(小説家/作詞家/ANGIEシニアライター)

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