ハピネス

2014.05.07 UP

磨かないと輝かない女性と、劣化具合こそがいとおしい男たち

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達観して高尚な人格になったわけでは決してないのだけれど、最近、お金を使うことがめっきり減った。

都心に出かけないというのがその最大の理由かもしれないけれど、たまにホテルのショッピングモールでカシミアのジャケットを見ても、いいなあとは思うけど、欲しいとは思わない。

 

唯一、お金を遣うことと言えば、近所の駅前の居酒屋にひとりで入るときくらい。月に2回は会議などで青山に出かけるので、その帰りにぶらりと立ち寄る。

 

カウンターに通されて、生ビールを注文して、その日の「おすすめ」のメニューに目を通す。先日は、金目鯛の刺身があったのでそれを注文した。

800円くらい。馬刺し。きゅうりの一本漬け。軽く焼酎をいただいて日本酒を2合ほどいただいておしまい。4,000円ちょっとだった。

 

Facebookを見ると、どこで誰となにを食べたというような投稿がたくさんあり、「みんな、ええもん食べてるなあ」と感心するけど、ぼくももっと若いときは「ええもん」を食べていたので、ひとのことは言えない。若いとはそういうものなのだろう。

 

ぼくだけの傾向なのか、皆さんにもそういう傾向があるのかわからないけれど、ひとは歳を重ねるにつれ、自然と高望みをしなくなるようだ。高望みをすることを我慢するわけではなく、自然と「うん、これでいいかな。これがいい」と思う。

まるで猫がじぶんの体のサイズにちょうどいい「くぼみ」を見つけて、しあわせそうにそこに身を入れるように。

 

そしてこれもぼくだけの傾向なのか、皆さんにもそういう傾向があるのかわからないけれど、男にとって「しあわせに身を入れられる場所」は、歳とともに「より小さくて地味なところ」ではないかと思う。

 

歳を重ねても勢いのあるひとは、華やかな場所を好むのかもしれないけれど、ぼくが知っている限りにおいて、いつまでも華やかな場所を好む男はいない

時代が悪かったのかもしれない。08年のリーマンショックのときに、勢いのある男たちの勢いはすべて削がれたから、ぼくのまわりの年長者はみんな、勢いのない男たち。

 

女性は出産をしたら顔つきが変わると言われるけれど、男は勢いが削がれたら顔つきが変わる。非常にいい顔をしている。

そういう「いい顔」を理解できる女性のほうが、長い目で見たらしあわせなのかな。

 

日本酒にやられて、近所の居酒屋で諸行無常の鐘の音を聞いたつもりになった日のこと。

 

Photo by Pinterest

ひとみ しょう

ひとみしょう

(小説家/作詞家/ANGIEシニアライター)

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