ハピネス

2014.05.04 UP

〜女性が恋に落ちた瞬間のあのキュン!〜 幸せにするアイテム

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この世のなごり。夜もなごり。死に行く身をたとふれば、あだてが原の道の霜

この文脈ではじまる有名な道行の場面というと、いよっ、待ってました! 「曽根崎心中」でございます。

 

この近松門左衛門の「曽根崎心中」を作家の角田光代さんが、現代に蘇らせてくれました。

江戸時代、大阪で実際にあった、堂島新地の遊女・初と醤油屋の手代・徳兵衛との悲恋を初の視点で書いています。

 

文章のリズムがいい。そのあたりも、角田さんの手腕に脱帽します。遊女に惚れる、ってことは、今でいうと、キャバクラに通うようなものでしょうか。

それでいて、いつしかキャバクラ嬢も、そんな男に魅かれていく(ちょっと、違う気もしますが)。

 

観音めぐりをしていて、初が恋する徳兵衛に出逢うシーンがあります。

観音めぐりとは、上客に遊女が誘われて年に1度か2度、遊郭の外に出られて、西国33所を巡礼する、言うなれば、観音信仰みたいなことです。

そして、初は徳兵衛とのことをお願いし、偶然にも徳兵衛と出逢います。

 

「おなじ背丈でもほかの人とちがうのは、着物でも背丈でもない。光だと初は気づく。光に包まれるようにして、おもてを行き過ぎようとする徳兵衛の姿がある」

 

初はそれまで、恋をしたことがなかったけれど、徳兵衛は別格でした。

 

「知っている顔だが知らない人だ、会ったことはない人だと気づいたとき、初は、長く細い指で背中をすっと引っ掻かれた気がした」

 

死にゆくまでの儚い数日を描いているんですけど、初の心情や揺れる想いなどが伝わってきます。

 

「これが恋か。初は思った。これが、恋か。ほほえみながら、泣きながら、高笑いしながら、物思いにふけりながら、不安に顔をゆがめながら、嫉妬に胸を焦がしながら、記憶に指先まで浸りながら、幾度も幾度も、思った。これが、これが、これが、恋」

 

恋をしたことがある人なら、きっとわかる心情が胸に迫ってきます。

 

最近、パートナーとうまくいっていない人や、恋から遠ざかっている人は、この小説を読んでみてください。とっても、読みやすく書いてあります。恋に落ちた瞬間の、あのキュン! となった気持ちが蘇ってきます。

 

それでいて、初は徳兵衛のことを心底、信用していません。どこか冷めた目で、観察しているようなところがあります。

徳兵衛って、すぐに泣くし、だまされるのも当然、みたいな男なのです。だけど、それは徳兵衛の本当の姿なのか・・・・・。

 

「未来成仏 うたがいなき恋の手本となりにけり」

近松門左衛門の曽根崎心中は、これで終わります。恋を忘れた人に、是非、読んでいただきたい本です。

 

※参考・引用 曽根崎心中』角田光代著(リトルモア)

かわの ももこ
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