ハピネス

2013.09.09 UP

どこまで堕ちるか、女の人生!~絶望の先が見てみたくて~【第10話】

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二股のはじまりは痛々しくも、清清しい朝だった

周囲からという、別れろ別れろコールが聞こえてくるのではないかとばかりに、反対されまくった私。

自分でも「いかんこのままだとやがてメンタルやつれて死ぬかもしれん」と思いつつも、なんだかこのまま堕ちたいと思ってしまう私もいて。

なんだかみんなが言う、愛とかの形が未だ信じられなくて、こっちのほうがなぜだか真実に近い気がして。

 

でも、私が意地になればなるほど、意地になって別れさせようとする友人もいた。

それはとってもありがたいことなのですけれどね。

 

でもありがた迷惑なときもある。

とある友人が、彼がなかむつまじくしているところを見たことを教えてくれた。

うっそでしょ~と思ったけれど、場所がバッチリ、ヒカリちゃんの家の近くだった。まあ私の地元から近いからな。そういうこともあるだろうね。

え? しかもその日ってもしかしてわたしと会って分かれたあとだっけ……? よくわからん。そうかもしれないけどそうじゃないかもしれない。

 

しかし……切ったといっていたのに。切るどころかこの仕打ち。もう何もかも疑わしい。

 

「もう何も聞きたくないーーーーーーー!!」

その話を電話で聞いているとき、半分寝ていたはずの私は、物凄い勢いで電話を投げ飛ばして、さらに自分まで家から飛び出した。

もう何が何だか分からなくなる位走っていたら、会社にたどりついていた。

何が何だか分からなくても行き着く先が会社とは、さすが仕事ばかりしている女なだけある。ちなみに電話は床にたたき付けて壊しちゃったけどね!

 

会社につくなりトイレに駆け込むと、私は自分ごとトイレに流れるかと思うほど吐いたのだけれど、残念ながらそんなに私の体は細くないので、流れるはずもなかった。残念。

 

でも、散々吐いたら、なんだかとってもすっきりしてしまったんです。

 

うちの会社のビルは24階建てで、私のフロアは18階。トイレもガラス張りになっていて、とても見晴らしがいいのです。

 

トイレから見下ろす都会の景色を見て、私はにっこり笑いました。今日も仕事をがんばろうと、心からそう思えたのです。

ああトイレに流れるほど細くなくてよかったね、と自分に話しかけてみました。

 

また嘘をつかれたので、今度こそさすがに怒っていた私は、電話を修理したあと、彼に電話をしてみた。

「キミがヒカリちゃんと別れる気はないことは分かった。でも嘘はやめてくださいねダーリン!」

「いや、あの子とは別れる……」

まだそんなことを言う彼に、私は笑ってしまいました。

 

「君に彼女と別れることはないことは十分わかった。好きなんでしょ? 切れないんでしょ? そして私のことも、わりと、好きなんでしょ? 2番……いや3番目ぐらいかもしれないけど」

 

「順位とかじゃなくて……キミのことも好きなんだよ本当に」

「どっちかなんて、選べない?」

「そうだね」

 

なんだかそのやりとりが面白くて、笑ってしまいました。

ああ、私はこの人に会ったことで、いつの間にやら自然に笑えるようになっていたんだなって、この時初めて気が付きました。

 

そしてさらに気づいたのです。

わたし、やっぱりこの人のことが好きなのだな、と。

だからこんな状況でも、彼とこうして話していることがうれしくてうれしくてたまらないんだ、と。それは完全に堕ちた証拠。

 

でも私が苦しかったのは、この彼を独占しようとしたり、自分の思い通りにしようと思ったから、ずっとずっと苦しかったんだ。

そのことに気づいたのです。

 

だって彼は所詮他人。

どんなに愛し合った人だって……、

たぶん彼とヒカリちゃんがものすごくラブラブだったとしても、そのふたりだって、すべてが思い通りになるわけではないと思うんです。

 

自分の思い通りにいかない、苦しい、そんな気持ちが続くくらいなら、たとえ何番目であろうと、自分の中の「好き」という気持ちを尊重して、ありのままの彼を愛せたら、と思うんですよね。

たとえどうしようもなく嘘つき男だろうと。まあ別に誠実さに惹かれたわけではないから仕方ないとも思う。

誠実さに惹かれてこの仕打ちだったら「騙された!」でもいいですよ。でもこの人、未だ見るからに女を騙してきそうな見た目をしているし、ある程度想像はできていたはず。

なのに期待しすぎちゃったんですよね。それが良くなかった。私の中の「なーんだ、意外と真面目じゃん」がどんどん膨らみ、やがてこうして欲しい、ああして欲しいという

欲望にすり変わっていったんだと思うんです。

 

でもまあ今は何番目かしらないけど、一応私のことも好きだと言ってくれて、一緒にひとつのものを作っている。

 

それって案外、みんなが知らない幸せなんじゃないかな、なんて思いながら、私は汚れた口を手でぬぐいながら、仕事に向かったのでした。

 

Photo By kedondeng

メルヘン 可憐子

メルヘン可憐子

(コラムニスト/エッセイスト)

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