趣味

2014.06.27 UP

失われたものは「ハリのある身体」だけじゃない!

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(Photo by Pinterest)

 

近頃、一般の方や高校生による動画投稿が注目を集めていますね。

特に高校生が作った「バカッコイイ動画」は、朝の顔であるめざましテレビが取り上げたことから、一気に知られることになりました。

アンジー女史の皆さんにも、ご存知の方は多いかと思います。が、一応簡単に説明をしますと「バカッコイイ動画」とは、高校生たちが「バカっぽいけど、かっこい良いよね!」と思う動画を撮影したもののこと。様々な「かっこいい」と思われるシチュエーションを、何十回何百回と挑戦して完成させたものです。

元祖ともいえる動画は2009年に滋賀県立野洲高等学校の3年1組の生徒たちによって撮影されたもの。これをきっかけにして、スマートフォンの普及とともに、動画共有サイトYoutube上に様々な動画がアップされるようになりました。

高校生たちの想像力と実行力のすごさには驚かされるばかりですが、美術館で働く私にとって、なにか他にアートっぽくて「バカッコイイ動画」は無いものかと気になっておりました。

そして、見つけました!

さっそく、めちゃくちゃ「バカッコよく」て、思わず唸ってしまうような「アート」な動画をご紹介します!

 

このふたつの動画は、ロンドン在住のTom Wrigglesworth(トム・リグルワース)とMatt Robinson(マット・ロビンソン)によるディレクターズ・デュオWriggles & Robins(リグルス&ロビンス)が制作したもの。

まず『Life drawing at The Book Club』は、中心に居るモデルを様々な角度から写生し、それの絵と描く人の様子を後ろから撮影しています。

絵が完成していくにつれ、絵の中のモデルが生きているかのように動き始めるこの動画は、一見シンプルなアイディアでありながらもスタイリッシュ。描く人の個性も絵の中に観てとれるので、けして単純なアニメーションに感じません。

その個性ともいえる描き方の差が画面に凹凸となって表れているので、より絵が生き生きとしているように見えます。

もうひとつの動画はロックバンドTravis(トラヴィス)の2ndシングル「Moving」のミュージックビデオとして制作されたもの。

人が吐く息にプロジェクターで光を投影して、人や物のシルエットを生み出しています。

最近はスモークを焚いた中にプロジェクションを投影したり、建物にプロジェクションでマッピングするという手法が流行していますが、彼らの制作した動画は大がかりな仕組みを必要とせず、人の吐く息をスクリーンとして使うという、非常にシンプルかつ、意外なアイディアによって作り出されているのです。

機械のように一定ではなく、人の呼吸に合わせて揺らぎのあるこのシルエットたちは、ドラマティックなラブソングと相まって、とても感動的です。

 

また、なんとこの動画は、日本で毎年開催されている文化庁メディア芸術祭において、エンターテイメント部門優秀賞を獲得し、アート業界やエンタメ業界でも注目度が急上昇しております。

 

いかがでしたか。

シンプルなアイディアから生み出される、「カッコよく」て「アート」な動画の数々。

でもきっと、これを制作した彼らも、かつては日本の高校生たちのように「バカッコイイ」ことに全力で取り組んできたと思うのです

その経験やアイディアが花開いた時、素晴らしいクリエイターとして世界に巣立っていくのかもしれません。ということは、きっと日本の高校生たちの中に、彼らの様な世界的クリエイターが誕生する日は近いのかも。

がんばれ! ニッポンのバカッコイイ高校生たち!

nishico

nishico

(学芸員、美術評論)

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