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2014.05.20 UP

SNS炎上!「あなたの知らないうちに悪者にされている」

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田舎町というのは怖いもので、朝、何気なく話した話題が、電光石火のスピードで、夕方には地域全体に広がっている、ということがあります。

「○○さんとこのお嬢さん、もう結構良い年やと思うんやけど、まだ結婚しはらへんのかな? それに、いつも家にいはるよね? 仕事してはらへんの?」

これが夕方には「○○さんのお嬢さんは嫁に行けず、働かないニート」と断定されているのですから、恐ろしいコミュニティです。

 

今回ご紹介したい『白ゆき姫殺人事件』(湊かなえ/集英社)は、化粧品会社の美人OL・典子が殺害され、同僚の美姫が失踪したことから、美姫に疑いの目が向けられていくストーリーです。

社員やかつての同級生たちが、興奮気味に美姫の噂や勝手な憶測を語り、SNSは炎上! さらに週刊誌報道も過熱します。

噂話がひとり歩きして、文字にされることで真実味を帯びて行く過程が、とてもリアルで怖い一冊でした。

 

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※湊かなえ『白ゆき姫殺人事件』(集英社)2014

「無自覚の悪意」の恐ろしさ

本書は、ひょんなことから事件の糸口をつかんだ週刊誌のフリー記者「赤星」の、事件関係者への取材の証言で構成されており、巻末には関係者たちのSNSや週刊誌記事・新聞記事やブログなどが「関連資料」として添付されています。

 

被害者は「白ゆき」という大人気の石鹸を取り扱う会社に勤める、美人OLの「典子」

容疑者は被害者の同期で、何かと比べられていた「城野美姫」という華やかな名前の、地味な女性

取材に応じたのは、化粧品会社の社員や美姫の両親、地元住民やかつての同級生たちです。

 

赤星という記者は、人から話を聞き出すのが上手いタイプではなく、リアクションも薄いためか、取材相手はとにかく皆「自分だけがこの事件の真相を知っている」とばかりに、よくしゃべります。

また証言者が語る城野美姫の印象が、人によって全然違うことに驚きました。

料理上手な美姫が作るお弁当を「あの豪華さは異常」という人もいれば、「純粋で素直」という人もいる。真面目な美姫のことを「呪いの力がある」と本気で信じている人もいました。

 

自分の記憶で作られる過去」と、「他人の記憶で作られる過去」がこれほど違うとなると、真実とは一体何なのでしょうか?

 

今は「匿名」という名の武器に守られながら、一般人であっても、ツイッターやブログで簡単に自分の意見が発信できます。

けれど「簡単に発信できる」ということは「簡単に誰かを傷つけてしまう」可能性があるということ。

 

私も自分を省みて、背筋が寒くなりました。

無自覚の悪意ほど、人を傷つけるものはないように思います。

 

Photo by Pinterest & e-hon『白ゆき姫殺人事件

さゆ

さゆ

(フリーライター)

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