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2014.04.28 UP

平安時代のオタクの物語に見る「女性の幸せ」って?

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アンジー読者の皆様は「SNGの洗礼」をくらったことはありますか?

SNGと言うのは『ママはテンパリスト』(東村アキコ/集英社)という漫画に出てくる単語で「少女漫画脳ゆえのギャップ」の略です。

『りぼん』などを愛読し、ファンタジー満載の少女漫画に浸かって育った女の子は、大人になると、日常生活における理想と現実のギャップに、ショックを受けることがあります。

 

私もこれまで何回も「SNG」の洗礼にあいました。

憧れの人にディナーに誘われてワクワクして出かけたのに、なぜかお会計が私持ちだったこと。それだけならまだしも、自営業だった彼は「領収書はもらった?」とたずねてきて「もらってない」と答えると「経費で落とせたのに。チッ!」と舌打ちされた経験は、かなりのSNGでした(笑)。

 

でもこの「SNG」。どうやら平安時代からあった模様です。

今回は平安時代中期の歌人で、源氏物語オタクでもあった菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)の回想記『更級日記』を見ていきたいと思います。

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※川村裕子=編 『ビギナーズ・クラシックス 更級日記』(角川ソフィア文庫)平成19年

 

物語に憧れながらも、現実に裏切られる

平安時代中期に書かれた『更級日記』は、原稿用紙百枚にも満たない「菅原孝標女(たかすえのむすめ)」の回想記です。

京での暮らし、宮仕え、結婚生活など40年余りの人生が綴られています。彼女の先祖は「学問の神様」である菅原道真。縁者の多くが学問・文芸の道で活躍している「文学界のサラブレッド」です。

 

彼女は元々地方育ちで、めったに手に入らない『源氏物語』の内容を、義母から伝聞で聞くことが大好きでした。何が何でも原典を手に入れて読みたくなり、その一心でなんと等身大の仏像を作ってお願いしたほど!

 

その甲斐あってか、父の転勤で都に帰ったある日「源氏物語」を全巻プレゼントされる機会に恵まれます。

孝標女は物語にとっても夢中になり、部屋から出てこなくなり、夢の中でも僧に怒られるのですが、反省する気配はゼロ。

 

美形に囲まれる妄想をして少女時代を過ごします。

大人になって「光源氏なんてこの世にいないし……。我ながら痛い子!!」と、日記の中で少女時代の自分を突っ込むシーンでは、思わず笑ってしまいました。

 

孝標女は結局、親が決めた結婚をして、皮肉なことにその後、物語に出てくるような素敵な男性と出会い恋をするのです。

ですが結局、憧れていた「光源氏」のような麗しい男性と一緒にはなれず、夢に見ていたドラマチックな人生を送ることはできませんでした。

 

しかし『更級日記』の魅力は、そんな夢と現実の間で悩みながらも、自分の「しあわせ」から決して目を逸らさず、彼女にしか描けない喜びや悲しみを、正直に書き綴ったところにあるように思いました。

 

子どもの時の夢を実現できる人って、少ないですよね。千年の時を経ても、今なお語り継がれる理由は、そんな所にあるのかもしれません。

夢見がちだけど、いつもひたむきで、とても親しみを持てる菅原孝標女の日記。特に、大人女子におススメしたい一冊です。

良かったら、読んでみてくださいね。

 

【参考】

※川村裕子=編 『ビギナーズ・クラシックス 更級日記』(角川ソフィア文庫)平成19年

※蛇蔵&海野凪子『日本人ならしっておきたい日本文学』(幻冬舎)2011年

 

Photo by Pinterest & amazon『 ビギナーズ・クラシックス 更級日記』

さゆ

さゆ

(フリーライター)

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